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【君の壊れる音(4)】

(3)の続き。

狂気

悲しそう



な、感じで。
いってらっしゃいませ。

拍手[2回]















「お前…陽介のシャドウだな?」


『おーさっすが悠!オレをよく分かってるなー』


時間はもう夜明け近いだろう。
自室の布団の中で俺は唸る。
目の前にいる存在が俺を深い思慮へと進ませる。

底光りする金色の瞳が、
まるで鷲掴みするようにこちらを観ていた。

 

昨晩のこと…鮮明に覚えているのは、
泣きそうな顔で走り去った陽介の背中。


飛び出していった陽介を追いかけようと立ち上がると、
酷い眩暈でその場に倒れ込んでしまった。

菜々子の必死の声に、
俺は目を開けると、何よりも先に
陽介の携帯電話へとかけていた。

ただ…出たのは陽介本人ではなかったが。

俺の代わりに応対した菜々子が
コイツを呼び寄せると、コイツは
陽介のフリをして家まで来て
俺を自室へと運んだ。

そして何食わぬ顔で菜々子へと
看病を申し出ると、
そのままこの部屋へと居座った。

 

『悠?どうした?また体調悪いのか?』


そう言って俺の髪を撫でて
無邪気に微笑みかけてくる。

その笑顔はそのままの陽介なのに、
確実に何かが足りないのを俺は感じてた。


「少し無理をしただけだ…」


こいつは陽介の一部であって
陽介の全部じゃない…分かっているのに。
俺は昨夜の出来事で目の前のお前に
罪悪感を感じて仕方ない。


「なんでこんなことに…」


『なんで?はは!わっかんねーよな?』


まるで本当に可笑しいかのように
腹を抱えて笑う。
その様子はどこか狂気じみていて、
何かとても悪い方向へ進んでいるような気がした。


「陽介…?」


『へー陽介って呼んでくれるんだ?
     オレがシャドウだってわかってんのに』


ニカっと悪い笑みを浮かべると俺を見た。
その笑みと言葉に
俺は反射的に呼んでしまった名前を
今更、喉の奥で詰まらせた。

俺のその様子を目を細めて見つめると、
内緒話でもするように顔を近づけてきた。


『悠…アイツ、怖いんだって…』


「怖い?陽介が?」


熱の浮かされたみたいな表情で俺へと告げた。
何を?

それを聞かさせれた俺は
どうしてもそれが知りたくて、
思わず起き上がり、シャドウの袖の裾を握った。


『なんだと思う?オレ、知ってるよ?』


「教えてくれ…」


この状態とその内容に繋がりがあるのだろう。
俺の必死な様子にシャドウは無邪気な様子でカラカラと笑うと、
途端、全部を嫌うみたいな表情をして言った。

 

『教えない』


たった一言だった。
陽介の顔をしたシャドウが
たった一言零した言葉に
俺は何も言えなくなってしまった。

まるで陽介自身に拒絶されたみたいな気がして
頭が真っ白になる。


『悠?どした?』


「……なんでもない」


ぐらぐら揺れる感覚。
俺の中身が受け入れ難い内容に
混乱しているのが判った。

何かを深く沈めるみたいに息を吸うと
違う話題を振った。


「陽介は…本体は…どうしたんだ?」


『はは!気になるか?だよなー…気になるよな…』


俺からの言葉にシャドウが薄く笑うと、
その途端、部屋の中が変化する。

部屋の全てが歪んで壊れると、
一瞬にして再構成される。

その中心で、シャドウはまるで何かにとり憑かれた様に
ぼそりと呟いて笑った。


『オレ…ショックでさー……だから、もういいやって思ったんだ』


浮び上がってきたのは、黒と赤の色彩。
まるでTVの中だ。
チカチカする背景が目を刺激して痛い。


「っ…なんだ…これは…」


『何もかもどうでもいい…だからさ…悠…
          オレと一緒に居よう?…ココにずっと…』


何を言っているのか判らなかった。
陽介のシャドウが、恐怖を感じるほどに
優しく冷たく笑い掛けてくる。


「何を……」


布団で寝ていたはずの俺は
いつの間にか、たった一つだけ残されたソファに
横倒しにされていた。
シャドウはそんな俺に圧し掛かるように近寄って来る。


『本体さ…あの後、すっげー真っ青になって
          泡食ってたぜ…だっせーよなぁ…』


「…っ…」


『なんでって顔してんな…わかんねーか?
 まぁ、わかんねー方がいいか…オレはその方が都合いいし…』


「…?…何を…っ」


一瞬の寂しそうな表情を隠すように
シャドウは俺へとまた優しく冷たく笑って言った。


『新しいオレを…』


「っ…え?」


最後が何か聞こえない。

シャドウが俺の両目を
その冷たい手で覆うと、酷い睡魔に
体の全てが重く落ちてゆく。


「っ…なに…を…っ」


俺の体が崩れると、シャドウが
抱きとめたのが判った。

 

「…陽介……よ…すけ…っ」


重たい体を引きずる様に動かして
手を伸ばすと、シャドウは俺の手を取り
お互いの指を組ませて繋ぐ。

抵抗出来ないまま、意識が深く落ちてゆく。

俺はうわ言のように、
お前の名前を呼ぶことしか出来なかった。

未だ塞がれた両目の上の
冷たい手の隙間から見えた
底光りする金色の瞳が、
何かを取り決めた様に妖しく蠢いた。


『俺とお前とオレの為に』


最後に見えたのは笑顔だった。


『おやすみ…悠』


そう言って笑った顔が
なぜかとても悲しそうに見えた。


 








数時間後…花村の自宅。

カーテンの隙間から朝日が見えた。
薄く開けた目にそれは痛くて
思わず顔をしかめる。


「んーー…もう朝かよ……」


花村は床で眠っているクマを観ながら
ゆっくりと体を起こした。

確か今日は早番だった。
日曜の朝から早番なんてツイてないと思うけど、
なにせ人手不足だから仕方ない。

開店準備をする為に店に向わないといけないし、
クマもそろそろ起こさないと…

そう考えながらも、ぼんやりする思考。
昨夜から何かが抜け落ちたような感覚が酷くて
あまり眠れなかった。


「夢に悠が出てきたよーな…………」


二人きりで何かを話して、
悠は…悠は………


「っ…痛っ…」


なんだこれ?
頭痛と寒気がする。

俺は意味の分からない頭痛と寒気と寝不足の為か
うつろな視線を再度窓の外へと向けた。


「天気…いいよな………」


関係の無い事柄を呟いてみた。

わざと考えないようにすると頭痛が止んで
寒気も軽くなる……

俺はまるで逃げるみたいに、
背中に張り付いた何かの抜け落ちを
考えること自体を止めた。


「?あれ?…」


途端、熱い位の感触の何かが
目から溢れて頬を伝って首筋まで落ちた。


「なんで…っ…」


それが涙だと気づいてはいたけれど、
なんで泣いているのか、自分でも分からなかった。


「…っ……………クマ!起きろ!仕事だ!」


俺はそれを振り払うみたいに叫ぶと、
ベッドから立ち上がった。


It continues to the next…








さてはて…4話目でした。
思ったよりシャドウとの会話が長くなってしまい;;
全然場面転換せずに終了してしまいました;;
スミマセン;;か、亀の歩みで;;

次回はバンバン!場面転換致しますので!
次回に!!   とぅぅぅ( ゜∀゜)=◯)`ν`)・;'.、
(ホントかよ;;)

楽しんで頂けたら倖い。

次回もお付き合い頂けたら倖い。

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