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【君の壊れる音(9)】

うおお;お待たせし過ぎ;;スミマセン;;
(8)の続きー。
な、七か月ぶり?!;;うおお;ホント申し訳ないです;;><

前回までのお話:陽介と陽介のシャドウが
争う中、突然現れた鳴上のシャドウらしき存在。
尋常じゃないその様子の鳴上のシャドウは、
突然メギドを放つのだった。

あんまり長いんで、今回からあらすじつき…;
いってらっしゃいませ。

拍手[3回]









夕焼けがよく似合うと思った。

待ち合わせ場所に向かうその様子が
まるで映画みたいな光景で思わず立ち止まり
惚けたままお前を見つめた。

朱に染まる周りが、夜を予感させるのに
お前だけは切り取られたみたいにそのままで。

どこにも属さないのに、どこでも当たり前みたいに笑っていられる。
その姿に酷く憧れた。

しばらくして俺に気づくと、
お前は笑顔で手を振ってくれるんだけど、
それすらもまるで切り取られた光景みたいで。

名前を呼ぶのも躊躇うほど、お前はどこまでもお前で揺るがなくて。
そんな遠くて近いお前が、誰よりも大事に感じて仕方ない。
いつからだろうこれは…。


夕焼けが似合うとかじゃない、
きっと朝も昼も宵闇も。

お前はお前でそのままで、俺の目の前の全部を変える。
手を伸ばすことに罪悪を感じる程のその存在に、
俺は惹きつけられて仕方ない。

いつからだろうなんて、
きっともう考えるのもおかしいくらいに
俺は目の前のお前から全部を逸らせない。

もう答えは出ていたのに、俺は何をしていたんだろう。
お前にそんな顔をさせるほどに、俺は何に迷っていたんだろう。




「『悠…っ』」


あふれる閃光は地上まで、
あと少しという所で止まっている。

俺のシャドウは、かざした手を止めて
眼球だけ動かして俺を見た。
そして辺りの様子を確認してニヤリと笑うと
発動したものを一瞬で消し去って言った。

『…よく追いついたな』

「お前…っ…お前は……」

いつの間にか俺が手にしていた刀は、
俺の体の震えが伝わったのか僅かに切先が震えていた。

シャドウの白い首筋には
その刀が喉を突く寸前の様な形で構えられている。
そう、いつでもその喉笛を突き破れる。

怒りの感情が湧き上がるのを感じながら、
俺は俺のシャドウに向けて唸るように言葉を投げた。

「っ…それ以上やるなら殺す」

『いいよ…どうぞお好きに』

嘲笑う…そうだったらいいのに、
俺のシャドウは本当に嬉しそうに無邪気に笑う。
その笑顔に俺自身でさえも嫌悪感をもよおした。
ああ、そうか自分のシャドウはこんな感じなのか。

そう頭の片隅で考えながら、
俺は突く形で構えていた刀を返して、
シャドウの頸動脈へとその刃を当てた。

「お前…お前は…っ………」

『久しぶりに見たな、そんな顔……あれはいつだったかな?』

「…っ?!」

優しく問いかけながら笑うその仕草に、
ぞっと寒気に包まれる恐怖を感じて
手の平が汗をかく。

「悠! そいつもしかして…」

『お、おい…』

「陽介来るな…!」

陽介たちが近寄ってこようとする姿を見た途端
俺の中の何かが切れてしまった様な感覚がした。
俺は握りしめていた刀の切先でシャドウの肩口へと
明確な殺意を持って突いた。

「悠! 何を?!」

『バカ! おま…っ!!』

途端、まるで突き動かされるみたいに
陽介が俺へと飛び掛かりその突きを止める。
陽介のシャドウはその様子に、驚いたように固まって動けないでいた。

「見ないでくれ…! こんな俺…っ…こんな…っ」

「悠、なんで…っ」

見られたくない、こんな俺は。
それに、コイツはこの後何をするのか予想が出来ない。
自分のシャドウなのに可笑しい話だが。
いや、シャドウという自分が否定したい部分だからこそ
目を背けてしまうのか…その動向全てに。

俺が刀に力を込め、さらにシャドウの
肩口辺りを深く突き刺そうとするが
それをさらに陽介が止める。

「陽介、離せっ!」

「こんなのダメだって! 落ち着けよ…!」

ガタガタを震える肩が、刀の留め金も一緒に震わせて
高い音が耳に五月蠅いくらい響く。

俺はこんなだったんだ、そう思い知らされて。
全ての声を遠くに感じながら、
息をすることさえできないまま力を込め続ける。

「見ないで…くれ…陽介…っ…陽介…嫌だ…こんなっ…」

『悠…!』

「しっかりしろって! これがシャドウだって言うなら…っ」

「こんなものいらない!」

「悠…?」

「こんなものいらない! 受け入れる気もない! 何も知らないくせに!
 お前だって拒否したじゃないか、そんなお前が簡単に言うな…!!」

俺の中から出た本音に、陽介が過剰に反応する。
目の色が変わってしまうのではないかというほど
激昂すると、陽介は叫んだ。

「な…おま…いい加減にしろ!
   この間からおかしいぞ! 何を隠してるんだよ!」

「っ…それは………?!っ…陽介逃げろ!」

「え?」

俺達が胸倉を掴み合って揉めている最中、
陽介を後ろから羽交い絞めしようとする影が見えた。
その影…俺のシャドウがぬるりと音もなく、
陽介の背後へ回りその華奢な体を抱きしめたのだった。

『陽介……』

「ゆ、悠…のシャドウ?」

陽介が固まったまま動けないでいると
それをいいことにシャドウは寒気のする笑顔のまま
陽介の体をまさぐった。

「陽介…陽介だ……』

「な…ちょ…悠、やめ…っ」

『陽介の匂いがする……』

俺のシャドウは陽介の肩口へと顔を埋めると嬉しそうに笑う。
その手から逃れようと体を
くねらせる陽介を見て、俺のシャドウは囁いた。

『陽介…俺のこと知りたいか?』

「え? 悠のこと?」

『教えようか? 俺の全部を』

「っ…やめろ! 言うな!」

ニヤリと笑うその表情に殺意を覚え、
俺は歯をむき出して叫び刀を俺のシャドウへと向けた。

「陽介を離せ…!」

『いいのか? そんなことをして少しでも外れたら、陽介が…』

「俺は外さない…っ」

『なるほど……本当に? じゃあ、やってみせてくれよ』

「っ……」

「悠…っ」

『うん、出来ないよな…俺なら……そっちの陽介も、動くなよ?』

『チ…っ』

声を投げた方へと目をやると、
陽介のシャドウが拾ったクナイを
投げつけようとモーションを取った所だった。

しかし陽介のシャドウは俺のシャドウからの言葉に
小さく舌打ちをしつつ、そのまま離れるかと思いきや
ニヤリと口を歪めて笑うと言った。



『なーんてな…そんなの、オレが聞くとでも思ったのか?』

『な?!』

「え?…っ」

そういって嘲笑うように声を上げると
陽介のシャドウは俺へと飛び掛かり
俺の肩へと力任せに体重を掛けると
そのまま二人分の体躯を地面へと押し倒す。

『オレが用があるのは、本体のこっちだし?』

「な?! 痛…っ!」

「悠!! やめろ、悠を離せ…!』

『るっせーよ! てめぇはそこでグダグダやってろ!』

陽介とそのシャドウが
歯をむき出しにしながらお互いを罵る。

俺のシャドウはその様子を緩慢な動作で見やると
合点が言ったようにニヤリと笑いながら
陽介へと視線を落とした。

『なるほど…そういうことか……』

「ゆ、悠…?」

『可哀想に、全部失くしてしまったんだな…大丈夫だよ
  無いなら全部作り直せばいいから…無理矢理にでも繋げて』

「作り直す? 繋げる?」

『うん、俺が手伝うから…陽介、怖くないよ』

「怖く…無い…?」

陽介は俺のシャドウからの言葉に
意識を絡め取られたように、何度も言葉を反芻する。

『そう、怖くない…痛くもない……』

俺のシャドウにいつの間にか体を押し倒されていた陽介が
下敷きにされたまま動けなくなって呻くと
俺のシャドウは魅惑的な言葉でも囁くみたいに笑って言った。

『全部繋げればいいんだよ…』

「っ…繋げる?」

『うん、思い出して…俺と出会って何があった? どう感じた?』

「じ、事件が起きて…お前と一緒に戦って…っ」

『うん…それで?』

「それで、なんとかやってきて……
 でも近頃お前の様子がおかしくて、だから俺は昨日…お前と………」

『俺と? 何があった?』

「お前に…俺は………俺は…っ」

錯乱するような瞳孔の色で
俺のシャドウを見続ける陽介。
陽介のシャドウはそれを見ながら舌打ちして
俺の視線に気づくと、こちらへと振り返った。

『チっ! 早くしねーとあっちが思い出しちまうかもしれねー!』

「っ…何を焦っているんだ?」

『言ったろ? 俺は本体から抜け出た欠片だから…
                      思い出したら消えちまう』

「…消える?」

『だから、消える前にお前を手に入れる…っ…
            そしたらオレはずっとお前といられる…っ』 

「手に入れる? 俺を? なんで…
            俺にイラついてたんじゃなかったのか?」

俺が理解出来ずに途切れ途切れに問うと、
シャドウは悔しい様な悲しい様な
たくさんの気持ちが混じった表情で苦笑しながら俺を見た。

『まだ分かってくんねーの? お前…っ…ちょっとひどくねーか?』

「え?…陽介…っ」

『ん?ああ…あっちか? 大丈夫だって
 あっちがダメになっても、ちゃんとオレがお前を慰めるから』

「ダメって…な…にを…っ」

『本体なんて、お前とのこと色々全部蹴っぱくって、
オレに押し付けてサヨナラだぜ? あんなのもうどうでもいいじゃんか?
                      悠…オレ、お前が欲しいんだよ…っ』

「陽介? なにを言って…?」

苦しげに吐き出された言葉に俺は絶句する。

何を言ってるんだ?
夢でも見ているような気分になる。
虚ろな虚構に俺は誘惑されているんだろうか?

そうしていると俺のシャドウが抑えつけているハズの
陽介から、悲鳴のような声が上がった。


「ひっ……や、嫌だ…っ…悠、離せ…っ…やめ…っ…いやだぁぁっ!」

「?! 陽介?! 離せ、陽介が…!」

『チっ! 悠、こっち見ろって…っ…オレも陽介だ! 
 離すかよ…っ…こんなのもう二度と無いかもしれねーのに…!』

その声が聞こえた途端、
俺はシャドウの手を振りほどき
起き上がろうとするが、陽介のシャドウは
更に力を込めて顔を近づけてきた。

『いまからオレがお前の陽介だ…
    お前がいうことならなんだって叶えるから…っ』

「…っ…なにを?」

『だからオレを見て、傍にいて…っ…
     どこにも行くな、オレ以外の誰も見るな…!』

「陽介…?」

これが陽介の本音?
嘘だ、何かの間違いだ。
だってこれは、俺が見たい陽介で
俺が聞きたい陽介からの言葉だったから。

『オレが本体に戻ったら、オレはまた蓋されちまう…っ…
 お前はもう一年もしないでいなくなるのに、
        ずっと言えずに終わっちまうなんて嫌だ…っ』

「陽介…っ」

『あんな本体なんか知るか…っ…
        あんなの、あのまま壊れちまえばいい…っ!』

「え?! 壊れる…?! どういうことだ…?!」

『っ…アイツ…お前のシャドウ、オレの本体壊す気だ…っ…
 オレも分かる、だって壊れれば自分だけのものになるから…
                …そしたらオレだけ見てくれるから…』

「そんな…っ」

そうだ、失念していた…なんてことだ。
さっき危険な存在だって感じたばかりなのに。
総毛立つ感覚に俺が陽介のシャドウの手を再度振りほどき
腕ずくでに体を引きはがすと陽介のシャドウは涙声で叫んだ。

『嫌だ…っ…行くな! なんでオレじゃダメなんだよ…!』

「陽介…っ…違う…ダメとかじゃなくて…っ」

そうじゃない、ダメとか本体とかそうじゃなくて。
もっと本質的なこと。、
大切なことに気づき始めた俺の頭の中が
フル回転で動き始めると空中からふいに
誰かの声が聞こえた気がした。

俺は未だ組み伏せられている陽介本体と、
なぜか同時に、まるで呼吸でも合わせたみたいに
そちらへと振り向いた。

to the next…















相変わらずの、行き当たりばったり&
思いつき展開でお送りしております(土下座)
もう半分以上終わってるハズなんだが…うおおーいぃ…(遠い目)

楽しんで頂けたら幸い。
次回もお付き合い頂けたら倖い。
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