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【うたかたの花】

【*うたかたの~*】の続き。
花村視点の主花ー
なんかもう色々可哀想なだけになってしまった;;;
ダメダメで申し訳ない;;;;

和歌を詠うような

帰るな



な、感じで。
いってらっしゃいませ。



以下、拍手お礼です(該当者様反転推奨)



arisaさん

返信遅れまして大変申し訳ございません;;
いつも見て頂けて嬉しいです!!(≧▽≦)
モダモダ!楽しんで頂けたでしょうか?
鳴上くんだともっとグルグル怖いトコまで
考えてそうなんですが…陽介は等身大の
高校生として書きたかったので;;
なかなか難しいです;;;;;;

コメントありがとうございました!

拍手[1回]















「積もったな…」


「ああ…」


まさか積もるとは思わなかった昨日の雪。

たまたま休日であった今日は、
みんなと誘い合わせて約束通り雪合戦の予定だった。


「里中と天城が旅館の手伝いで遅れるって話しで、
 クマと完二が寝坊で、りせと直斗が店番と所用で遅れてくるってさー」


「見事に二人きりだな…」


そう…約束した鮫川近くの広場は
寂しいかな男二人きり。
お互いになんだか気まずいような…
照れくさいような…そんな雰囲気。


「二人きりって久しぶりかも…」


「あー…でも昨日一緒だったしな」

 

そういえばそうだ…そう言って
足元の雪を踏みしめていた
悠が俺を見た。

そう言って、視線が合った瞬間に
お互いに何か違和感を感じて黙り込む。

目はそのまま、見つめたままで黙り込む。

 

「下の川…さ…凍ってんのかな?」


「…さあ…危ないかもな」


「あ…そうか…危ねーよな…」


「危ないよ…多分」

 

そう言って二人ニヤリと笑うと
無言で河原まで走る。

川はやはり少しだけ凍っていて
踏みしめると薄い氷が割れて
パリパリと足元から危うい感触がした。

 

「悠…」


「ん?なんだ?」


「コレさ、凍ったらスケート出来るか?」


「流石にそれは無理だな、危ないよ」


「だな…危ねーよな…」


まるで、お互いに独り言を
言い合うみたいに話し続けた。

雪の名残なのか、
吐く呼吸が白く立ち込めて
視界を奪う。

うざったいくらいの
白い呼吸を眉間をしかめて見つめながら
俺は呟いた。

 

「約束…とかさ…他は無いのか?」


「陽介?」


「い、いや…ほら!こう、なんつーか…ほら…その…なんだ…」


「陽介?どうしたんだ?」


「いや…その…なんだ……やり残したこととか…その…」


「陽介……」


何かしたいこととか、
願うこととか無いのか?

そう言って苦しく笑う。
悠は俺のその様子をぼんやりと見つめて
なんとも言えない顔。

 

もう冬だ…お前は春には帰ってしまうから…

だから、もしお前がココで何かやり残したことがあるのなら、
俺が付き合うし、俺に出来ることなら
何でも叶えてみせるから。

だからさ、なんか無いか?
俺だけに頼みたいこと。

俺じゃなきゃ出来ないようなこと無いか?

じゃないと、俺はお前の傍にいられる
口実が見当たらなくて、俺はお前から
離れるしか出来なくなる。

まだ、離れたくねーのに。

 


「陽介………氷の上…立ってみようか?」


「え?悠??あ、あぶねーって」


「平気だよ…これくらい」


笑って一歩踏み出す。
それはいつものしっかりとした
足取りとは違っていて
まるで飛び込むような、
考えなしの一歩。

そして、これくらいって言って笑った顔が
とてつもなく危うかったから
俺は咄嗟に飛び出した。

その途端、悠が乗った氷が嫌な音を立てて割れた。


「っ…あ…」


「悠!!!」


手を出して悠の腕を掴んだ途端、
自分よりも幾分か高い身長が
ふわりと浮くのがわかった。

瞬間、必死で引き寄せて
気がつくと草むらの中
悠に押し倒される形で
寝転んでいた。

 

「っ…ごめん…陽介、大丈夫か?」


「ああ…ってー…しりもちついた…っ」


俺の様子に苦笑すると、
悠はいたわるみたいに
俺の頭を撫でた。


「本当…ごめん…」


「悠?」


お互いに手を貸し合いながら
立ち上がり服の埃をはらう。

その動作を続けながら、悠は俺の手を
握ると、指を絡めて繋ぎあわせてきた。


「悠?どした?」


「ん…なんだろう……」


二人割れた氷を見て、目を細めると
今度は悠が落とすようにつぶやいた。

 

「氷が薄かったんだな…」


「え?あ、ああ…だ、だから言ってんだろ!あぶねーって!」


「うん、ごめん……でも…まだ…」


「は??何が??」


「氷が薄いんだ…だからまだ完全に寒いわけじゃない」


だからなんなんだ。
寒くないから?だから?
まだ12月もはじめで、
そりゃまだ少し暖かい季節はあるけれど。

でもだからなんなんだ?
お前をそこまで危うくさせる
ソレはなんなんだ???


「まだ…春は遠い」


「悠…?」


何かを考え込むような、
そんな表情に俺はもしかしたら
向こうに残してきた人でも
いるんじゃないか?と
思わずにはいられないわけで。

しめつけられうような
痛みが俺の中身を支配する。

 

「ん…だよ………そんなに帰りてーのか?」


「陽介?」


「帰りてーんだろ?実家…」


「…帰って欲しいのか?」

 


意味の判らない言葉で俺を振り回して。
もしかして、お前は帰りたいんじゃないのか?
こんな田舎でくすぶっていたくないんじゃないのか?

俺の傍…なんて付加価値…
お前にはどうでもいいんじゃないのか?

俺だけが振り回される感覚に耐えられなくて、
吐き出すみたいに言葉を出した。

 

「お前が帰りてーなら…好きにすればいい…っ」


「そうか…陽介にとって俺はもういらないのか…」


「っんだよ!ちげーって!…だから…っ」


「いらないんだな?陽介は……」

 

確認するような視線と言葉に俺は黙る。

『それって、ずりー』と心の中で呟いて。

未だ繋がれた手が熱くて、若干汗さえかいてきたのに
その接続部をとても振りはらう気になれないのは、
きっといるとかいらないとか
帰るとか帰らないとか、そんな単純な言葉で
表せないことに気づいたから。

でも…

 


「いるし・帰るな・相棒」


「え…………」


「いるし・帰るな・相棒…っ……に、二度も言わせんな!」


それでも、どうしても気の利いた言葉が出なくて。
悔しくて、情けなくて。

誰かを残して来たのだろうか?
それでも、その誰かがどれだけ
お前にとって大切でも離れるのは嫌なんだ。

もっとカッコいい言葉で
お前を繋ぎ止められたらいいのに。
お前がその誰かを忘れてしまうくらいに
俺がお前にとっての大切な何かでありたいのに。

肝心の俺は、その中身が全部、
どうしようもないくらい無様で。

カッコわりー…

 


「帰るな…だから…っ」

 

我儘だって判ってる。
でも、俺はお前の傍がいい。

ここ、八十稲羽でだけでいいから
俺はお前の一番近く…誰よりも近い距離に居たい。

俺は僅かに残った糸を必死にたぐり寄せるみたいに、
気の利かないだろう言葉を紡いだ。

 

俺にはお前いるし、もっと欲しいし

だから、まだ帰るな

相棒

 


好きだよ。

 

なんて言葉、今は言えないけれど。
でも、俺にはお前が必要で、
もっとお前が欲しいし。


だから、まだまだ絶対に
本当にリミットが来るまで帰るな。

相棒

 

 

 


「上げるし・帰らないから・陽介」


「は?」


突然、悠が返してくる。
俺が吠えた言葉とはまるで違っていて
例えるなら和歌を詠み返してくるみたいに
綺麗な響き。

ぽんぽんと悠から投げられた言葉を
頭の中で反芻する俺の顔が僅かに上気した。

悠はそんな俺を目を細めて見ると、
何かを隠すみたいに背中を向けて
また綺麗な響きで詠う。

 

 


「上げるし・帰らないから・陽介…」

 

「お前が欲しいなら上げるから、
  俺の全部…だから俺はまだ帰らないから…だから…」

 

 

 


だからどうかお願いだから…
いつか来るその時まで、この手はこうして繋いでいて。

 

そんな言葉がまるで掻き消えた言葉の後に
接続部分のように繋がれて聞こえた気がした。
それは俺の自惚れだったとしても…そう聞こえたんだ。

幻から囁かれた言葉に、俺はもしかしたら…なんて
都合のいいことばかりを考える。

背中を見せてお前の笑う仕草に
俺は何も考えられなくなる。


こんなに振り回されて、俺はなにをやってるんだろう?
俺が視界も定まらないくらいお前に振り回されているのに
お前はいつも変わらないまま笑ってて。

でも、時たま…びっくりするくらい危うくて。

ホントのとこを何も見せてくれない
お前の全部が欲しいなんて我ながら
バカだと思う。

こんなに、とりかえしがつかないくらい
お前が欲しいなんて、お前が知ったら笑うんだろうか。

バカでとりかえしがつかない俺を、
お前は笑うんだろうか。

でも出来たら、いつもみたいに『仕方ないな…』って
柔らかくはにかむみたいに笑って欲しい。

 

 


「雪合戦…するか…」


「陽介?」


俺は噛みしめるみたいに笑う。
悔しくて、みっともなくて
恥ずかしくて、泣きたいくらいだけど。


でももう、とりかえしがつかないくらい
お前が好きで、仕方ないから。

だから、もういっそ笑ってやってほしい。

お前のその和歌を歌うような
綺麗な響きの声色で
柔らかくはにかむみたいに。

お前が好きで仕方ない、俺だけのために。





to the next…





続かせるつもりなかったのに
続きを書いてしまったアホ…;;;;;

センセイ視点も書きたいーー
また後日ちょっと手直し…する…かも;;
ホントすみません;;;;;;

楽しんで頂けたら幸い。
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