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【うたかたの雪 花村】


関東地方…雪降りましたねー。
とゆーわけで雪ネタ。



約束

会いたい

な感じで。
いってらっしゃいませ。

【*うたかたの雪 鳴上*】
と対になってます。(上記は鳴上くん目線で)

拍手[5回]







 

 

 

「おーーー!悠!雪!」


「あ…本当だ…積もるかな…」


授業が終わり、二人一緒に校舎から出てくると
いつの間にか雪が降っていた。


「さぁな…何?積もって欲しいのか?」


「いや…そこまでじゃないけど」


ぼんやりと見ていると、
綿毛みたいな雪がはらはらと
まるで終わりが無いみたいに降ってきて
いつもの風景がまるで違って見えた。
 

「お前が前に居たトコ、雪積もる?」


「いや…そこまでじゃないな」


雪に思い入れがあるのか、
何かを考えているような様子に
問いを投げてみたけれど、
心ここにあらずな状態で、
するりとかわされた。


手を広げて待っていると
俺の手の平を選んだみたいに落ちてきて
それだけで俺たちを感傷的にさせる。
 

「じゃあ何?雪に何か思い出があるとか?」


「いや…思い出ってほどはないな」


「なんだよ、歯切れ悪ぃな」


「いや…ん…だよな…」


そう言って苦笑する。
ホント、なんだろう…。
ふわふわ…この雪みたいに
たまにとても掴みどころが無くて。
酷く危うい感じがする。

 

「じゃあさ、陽介、思い出作りしないか?」


「は?雪合戦とか?」


「ああ…それもいいけど」


「????」


校庭の隅に置いてあるベンチを指して
俺を促してくる。
 


「ちょっと座って眺めてみないか?」


「それって思い出になるのかよ?」


「うーん…どうかな…俺は嬉しいけど」

 

そう笑って小首を傾げて願われれば、
俺が拒否出来ないことをお前は知ってるんだ。

それって、ズリぃよな…。

なんだかんだと言いながら
二人でベンチへと腰掛けると
思ったよりもベンチは冷たくて
少しだけ心が萎えた。

 


「なぁ…さみぃんだけど…」


「だな…」


「お前もかよ!」


「はは…」


カラカラと笑った。
やっぱりふわふわと掴みどころがない。

掴んだらお前の中身とか
色々見えるのかな。

お前が吐き出す白い息が、
どっかの外国の映画みたいだ。

灰色の髪が白い雪と混じって
俺とは全然違う存在みたいで、少し哀しい。

お前を遠く感じさせる、この空気が怖い。 

 

 

「これさ、積もったらみんなで雪合戦しようか?」


「おお!いいなー!しよう!しよう!」


これくらいの雪ならきっと積もりはしないのだろうけど、
そういう約束を出来るのが嬉しい。

そのままその約束に思考を泳がせていると
思わずぽろりと言葉が漏れた。


「お前さ、時々掴みどころってヤツねーよな…」


「そう…か?」


「ねぇよ…」


「そうか…」


暫くの沈黙。
しまった、やっちまった…正直、そう思った。

でもお前はそんな言葉にも何も言わずに、
降り続ける雪を見てる。

俺は、それでも居場所を与えてくれる
お前の空気に甘えそうになる。

そうしていると悠は突然、黙ったままの俺に
はにかむように笑いかけて手を差し伸べる。
俺はその動作に思わず見とれた。
 

「掴みたいか?」


「…………」

 

なんだよソレ…誘ってんのかよ…

掴みたいよ…喉の底からそう思う。

でも俺の本性丸出して掴んだら
逃げられそうで怖い。
 

「掴んでいいのか?」


「え?」


「いいのか?って聞いてんだ」


心がざわつく感覚に少しイライラした。

遠くて哀しい感覚も、掴めない苛立ちも、
お前だけが与えてくれることに
気づき始めたのはついこの間のこと。


少しくらい欲張ったっていいだろ。

 


俺は差し出された手を掴んだ。
悠はまさか掴んでくるとは思わなかったのか
ビクっと肩を揺らして驚いた様な顔をした。

ほら…それがズリぃんだ…

もっと欲しくなるだろ。

 

 


「怖いか?」


「え?」


「怖いか?って聞いてんだ」


「…………」


雪はまだ止まなくて、
段々とその羽が大きく、
降る量も多くなってきて
視界が段々とお前と俺だけになってくる。

俺は、そのままお前のその白い手の甲に頬をつけて、
悠がココにいてくれる感触を確かめた。

 

 

「さみぃ……お前のせいだ」


「陽介…」


「バカか…俺は………」


俺が自嘲気味に笑うと、
お前は目を細めて瞳の光を
ゆらゆらと揺らした。

綺麗だな…ソレ…
俺、お前のその色好きなんだよな。

綺麗で…綺麗過ぎて、
ずっと観ていたい気持ちになる。
 

 

 

 

「陽介…」


「んだよ…」


「ココ………………学校の校庭なんだけど…いいのか?」


「?!」


わ、忘れてたーーーーーーーーー!
咄嗟に手を引っ込める俺を見て、
悠は笑った。

他じゃ絶対しないような、
悪い笑い方。


「お前が欲しいならあげるよ」


「え?」


「いくらでも」


そう言って、お前が丸ごと壊れるような笑い方…
俺が身を滅ぼしそうな笑い方をした。

欲しいよ…いくらでも。
お前なら。


やっぱズリぃよ…それ…

 

 

「ありがとう、陽介。すごい思い出になった」


「……そっか…?」


「うん…帰ろうか?寒いし」


そう言って立ち上がる姿に引っ張られる様に
俺も立ち上がって同じ方向を見た。

白くうっすら積もり始めた雪が、
遠い何かを感じさせた。


お前の中に少しでも俺という存在が残りますように…
お前が俺という存在で、
少しでもその身を揺らしてくれますように。

なんて酷く、ズルい気持ちを持った。

こんなの初めてて、
お前だけなんだと改めて気づかされた。

 

 


「明日、雪合戦だかんな!」


「ああ、約束だな」


「おう!約束だ」
 

お前と過ごせる残りの時間がとても惜しいよ。
雪合戦でもなんでもいい…
ひとつでもお前の中に俺を残してやる。

お前が俺を忘れられなくて
自分から連絡してくるくらい…。


お前から、“会いたい”って言わせてやる。

 

 

通学路を他愛も無い話しをしながら歩き始めた。
踏みしめる雪の感覚に少し浮き足立ちながら。

ふいに悠が俺に近寄り、小さく耳元で囁く。

 

「陽介のああいう所、俺好きだよ…」
 

そう言って悠が笑った。
柔らかく笑った。

その笑顔と俺が好きな灰色の瞳が
ゆらゆら揺れて、俺も一緒に揺らした。

 


お前から、“会いたい”って言わせてやる。
そう思ったけれど…


実際それは、俺の方かもしれない。

 

Fin


 








ずっと夏っぽいネタだったので。
雪とゆーか冬ネタ。

冬は密着度が高くていいですよね!
( ゜∀゜)=◯)`ν`)・;'.、

楽しんで頂けたら倖い。
 

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