Polaris
【悪い君が愛しくて】
夏休みの課題
悪い子
ちょっとギャグちっくなので
お嫌な方は回れ右ーー;;;
いってらっしゃいませ。
夏休みも終盤。
時刻は夕方。
場所は堂島家。
夕食の支度をしている最中に
鳴上の携帯が居間で
けたたましい音を立てて、
着信を知らせたのが数分前のことだった。
「すごい…驚いた…」
「う、ううぅぅ…」
電話口でうなだれる花村。
驚愕とばかりの声を上げる鳴上。
「だってさ!バイトとかあったし!ほら探索だってさ!」
「それにしたって、夏休みのこの時期まで
夏休みの課題が半分も終わっていないなんて…」
「ううううううぅぅぅぅ」
「逆に、尊敬に値するくらいすごい…陽介ってすごい…」
「お前は!俺を生かしたいのか、殺したいのかどっちだ?!」
「そんなことより陽介、読書感想文は覚えてるか?」
「え?」
新たな敵の出現に花村は立ち上がる。
そ、そんなのあったか?!
「陽介…もしかして忘れてる?」
「うそぉぉぉぉ…」
夏休みも終盤。
課題の行方に困りに困り果てた俺。
悠に電話をし、少しでも片付けてしまおうと
乗り出したところだった。
「…………すみません…そもそもそれがあった記憶がありません…」
「………………」
「……う………………」
「明日、ウチへ集合で」
「りょ、了解です」
ぐうの音も出ない俺へ、
立て続けに悠が集合時間を告げた。
「そうだな…じゃあ、9時で」
「ええええええ!は、はやくね?!」
俺からの返答に電話の向こうで
あからさまに溜息を吐く。
「大丈夫。菜々子は、いい子だから夏休みでも7時には起きてるから」
「……悪い子ですみません…」
「ホント、悪い子だな…」
「ううううぅぅぅぅ」
まさに蛇に睨まれた蛙状態。
電話の向こうでは相棒が、
にやりと笑っている姿が想像できた。
悔しい気持ちを切り替えて、
大事な相棒と一日一緒に過ごせることを
楽しもうと別件を切り出した。
「じゃ、じゃあさ!土産!なんかもってくから!何がいい?」
「え?いいよ、別に」
「いやいや!悪いじゃん?な?何がいい?
なんか食いたいものとか…」
「…うーん……ビフテキ???…………」
「いや…それはちょっと……」
「……………」
なんでよりにもよってビフテキなんだ…
朝から食べたいのかよ…
と心の中でつっこみを入れつつ返答を待った。
暫くの沈黙の後。
悠はうんと一つ零すと言った。
「じゃあ、陽介で。」
「へいへい、了解って…え?俺?」
「うん…陽介で。じゃあ明日朝9時に集合」
「お、おい!ちょ、ちょっと待てって!」
ちょっとまて!今何がいいって言った?!
それは有り得る選択肢なのか?!
つーか、ビフテキじゃなかったら俺ってナニ?!
お前の中では俺はそういう扱いなのか?!
脳内に疑問符が大量に浮び上がる中、
悠は楽しそうに笑う。
「遅れたら知らないからな…おやすみ、陽介」
「っ…?!」
「待ってるから」
そう小さく最後に付け加えて電話を切った。
通話が終了した携帯を握り締めながら
俺は立ち尽くした。
「お…俺って??????????え????」
「ねえねえ、おにいちゃん!
さっきのもしかして陽介おにいちゃん?」
「え?よく判ったな…」
通話が終了した携帯を握り締めて、
わずかに微笑む悠。
足元にじゃれつく菜々子からの言葉に
少しだけ驚いた。
「うん!だって今、おにいちゃんすごくうれしそうにしてるから」
「え……………………………」
驚いた。
そんな顔してたんだな。
ニコニコと笑いながら見上げてくる
無邪気な従妹に微笑みかけると、その頭を優しく撫でた。
「そっか……」
「おにいちゃん?」
「菜々子、明日、陽介おにいちゃんが家に来るんだ。」
「え?ホント?!やったー!」
飛び上がるように喜ぶ従妹の頭を再度撫でて、
玄関へと視線を移す。
「おにいちゃん??」
「ううん…なんでもないんだよ」
一瞬だけ、戸棚のガラスに写った自分の顔を見た。
ホント、なんて顔してるんだ俺は…
にやけてしまう顔を手のひらで隠しつつ
視線だけで時計を見た。
明日は、多分約束の時間ギリギリに来るだろう。
慌てる姿が目に浮かび、その想像に笑ってしまう。
「ホント、悪い子だな…」
独り携帯を見つめて呟く。
土産なんていらないから。
待ってるから。
早く来い。
まだまだ数時間も後のことなのに、
待ち遠しくて仕方なかった。
Fin
夏休みの宿題は皆様いかがだったでしょうか~
なぜか私の場合、夏休みの宿題を
夏休み前に終わらせてしまい、
夏休みが暇で暇で、
毎日ゲーム三昧だった思い出が強いです(笑)
(うーん…あとで書き直すやも;;)
※多少修正しました;;
楽しんで頂けたら倖い。