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【どうか僕だけを見て】

修学旅行ネタ~

読書



もっと


な感じで。
いってらっしゃいませ。

※大幅修正しました;;

拍手[4回]













 

 

 

 

 

 

 

八十神高校修学旅行最終日。

なんだかんだと楽しんだ俺達たちは
帰りの新幹線の中で
旅の疲れもあったのか、
おのおのくつろいでいた。


その中で、悠と俺…
二人並んで座ったシートは
とても静かだった。


向かい側の座席の里中と天城は
どうやら隣の車両へと行っている様だ。

窓側の席で読書をしている悠を横目で見つつ、
俺は自らの中から釈然としない感情が
湧き上がってくるのを感じていた。

 

 

 

「なんかさーお前だけ楽しそうでいいですねー」


「ん?陽介?」


ぽろりと出た言葉。
マズイと思った時にはもう遅くて、
俺は気まずい雰囲気のまま
言葉が止まらなくなってしまった。

 


「女子とも親好深めちゃってさー…いいですねー」


「…………」


“なにやら雲行きが怪しい…”
どうやら悠は即座に感じ取った様だった。

隣に座る俺が、なぜか不機嫌そうなんだからそりゃ分かるよな?
分かるよな???……悠

 


「陽介?」


「どうせ俺はガッカリですよ…」


修学旅行の間中、
とにかく誰かがコイツの傍にいて
ゆっくり話すとか全く出来なかった。

それだけでこんなにも酷く焦ったり
するなんて思わなかった…


「俺が居なくてもいいみたいじゃんか…」


バカなコト言ってるのは分かってる。
だけどこんなのさ、やっぱ無理そう。

寂しくて死にそう。
死にそうなんて簡単に言ったらダメなんだろうけど、
やっぱダメ…はぁ…俺ってバカだな……。


「陽介?」


心配そうな悠の声が聞こえる。

ダメだダメだと思いつつもなぜだか
まだまだ言葉は止まらなくて、堰を切ったように
俺は次々と話し出した。

 

「自由行動の時、お前全っ然戻ってこないし」


「里中と一緒だったしな」


「その後もなんか、俺以外と楽しそうだったしなー」


「そうか?」


「そうだよ!すっげぇ楽しそうでした!!」


「??つまらなそうにしろってことか?」


「ち、ちげーよ!なんだよそれ!」

 

ああっ…
なんか超カッコわりぃ…

しょうがねぇじゃん!
だって団体行動だ。

こういう時だってあるだろ。


でもさ、少しくらいさ、
振り向いてくれたっていいだろうと思うんだ。

修学旅行の間中、ずっとその広い背中を見つめていました
なんて、恥ずかしくて到底言えないけど。

 


「それに、団体行動だったから、ずっと一緒だったじゃないか」


「は?!そういう問題じゃねー!」


出た出た。
そう言うと思ったんだ。

そういう実際の距離の問題じゃない。
感覚の距離感の問題だ。

今だって読書なんかして…
そんなの帰ったって出来るだろ。

鳴上くん、君はデリカシー無さ過ぎです。

 


噛み付きそうな表情で返してくる俺を見て
悠は一つ溜息を吐くと、苦笑しながら言った。

 

 


「陽介…それって、やきもきって言うんだよ。」


「…え?!ち、ちげーーーって!」


「本当に?違うのか?」


悠の覗き込んで来る仕草と言葉に
たった一言で形勢がひっくり返されているのを
俺は今更のごとく悟った。

さっきまで読んでいた本を閉じて
こちらを見つめてくる様子に
願いが叶ったのに、なんだか落ち着かなくて仕方ない。

 


「そ……………そうとも言う…かも…」


「そうとしか言わない」

 

そう言ってにやりと笑う。
そうだ、この顔に弱いんだよ…俺。

そう思い、身構えると
悠が小首を傾げて聞いてきた。

 


「何?ここで色々確かめ合ってみる?」


「ば、バカか!新幹線の中だぞ!出来るわけ…っ」


「陽介…声大きいから」


「うぉ…………」


思わず立ち上り、叫ぶと
賑やかだった車内の視線が
一斉に俺へと向けられた。

自然と口に手を当てて
俺は何事も無い様子を装って
座席へと座り直す。

隣の相棒はそれを楽しそうに
見ていた。

 

「わ、笑うなーー」


「ごめん…だって陽介が面白いから…」

 

ひとしきり笑うと鳴上はまた本を読もうとする。
片手で器用にページをめくる。
長い指が見惚れるくらい綺麗だった。


なんだよ…またそれかよ…こっち見ろよ…

 


そう思うか思わないかの一瞬の間、
俺は悠が読書に向うその動作を
無意識に手で止めていた。

自分でも狼狽するくらい自然に。

 

 

「陽介?」


「あ、あれ???え、えっと………………」


「陽介…そんなに俺、喜ばせてどうするんだ?」


「へ?!」

 

そこにはやはり、にやりと笑う悠の顔。


寂しかっただの、構って欲しいだの
そうかと思ったら本を読む邪魔してみたり…
自分だけ子供で馬鹿みたいな我儘を言って
悔しい気分になっていた俺は
悠からの言葉に驚くしかなかった。

 

「よ、喜ぶ???なんでだよ??」


「じゃあ……俺が修学旅行中、陽介とあんまり一緒に居られなくて
 “寂しかった、もっと構って欲しかった”なんて言ったら陽介どうするんだ?」


「へ………?????」

 

その様子を想像してビクリとする。
そんな姿、想像出来ないっつーか、
正直、そういうのは俺の心臓に悪い…多分すっごく。

 

「寂しくて死にそうだった…なんて言ったらどうする?」


「ど、どうって…」


「ん……そうだな、困るよな」

 

焦る俺。詰め寄る悠。

微妙な空気の中で
悠は伏せ目がちにそう言う。
けど、その目はとても嬉しそうで。

 


「でも俺は嬉しいから…もっと言っていいよ?陽介」


「ば、バカかっ!」


「手で止めるくらい陽介が嫌なら、本も読まない」


「う、うううううぅぅ…すみませんでした…」


「?なんでだ?もっと言っていいから…ほら」


「い、いや…ちょっとそれは…その……っ…」

 

 

ぎゃあああああ!近い!近い!
周りが見てるだろーーーーーーーーーーーー!!

あれよあれよと言う間に
近寄ってくる悠を遮って
そっぽを向く。

 

「陽介?」


「もういいっ…俺が悪かったから…っ」

 

耳まで真っ赤になった俺を見て
悠は独り目を細めると
周りの皆に気づかれない様に
小さく耳打ちしてく来た。

 


「帰ったら、 埋め合わせするから…我慢、出来るか?」

 

そんなコトをさらりと言う。
その言葉に、ちょっと嬉しくなったなんて絶対に言わないからな!


「我慢…ね」


我慢……そう。我慢。何度も心の中で繰り返す。

俺は堪らなくなってガクリと体の力を抜くと、
悠の肩に頭を預け目を閉じた。

 

「こ、これで我慢してやる…」



肩にもたれ掛かって寝たフリ。
自分でも子供みたいだと、自己嫌悪しつつも
コイツの体温が嬉しくて仕方ない。

ああ…やっぱバカだな…俺…


 

「………………そうか…本当ごめん…」

 

え?今なんつった???

謝った???え?なんで??

閉じた目の奥で言われた言葉を
自動的に反芻する。


「陽介は優しいな…俺だったらそれくらいじゃ許せないかもな…」


「は?」


今、さらにとんでもない言葉が聞こえた気がする…
きっと今、目を開けたらとんでもなく
魅了されそうな気さえする。
 


「本当にごめん…俺も足りなかったから、嬉しかった」


「え?悠…?」


「おやすみ、陽介」

 

思わず声に出して驚く俺の傍で、
同じように寄り添って目を閉じる悠。

その体温がとても嬉しくて。

さっきの言葉の意味を聞いてみたいのに
この体温も手放し難くて。

 

「っ…んだよ…」


暖かいこの体温が急に睡魔を誘い出して
俺達を包んだ。

 

 

「やっぱお前、ずるいよ…悠」

 

囁くように言って、俺は悠と一緒に
深い眠りへとそのまま意識を手放した。

 





 

「やだ、なにこの二人ー、完全に寝入っちゃってるじゃん!」


「あ、本当。仲いいね、この二人」


座席へと帰ってきた里中と天城が見たのは、
仲睦まじく寄り添って眠る二人の姿だった。

 

八十稲羽まであと少し。

お互いの体温を感じて眠る時間。

車窓から射す光がゆっくりとした時間を
映し出していた。

 


Fin














と、とりあえずアップ;;
なに;このギリギリ感;;

実はお互いに悶々してた、みたいな…。

※ちょっと追記しましたー;;
※大幅修正しました;;

楽しんで頂けたら倖い。
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