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【恋愛の才能】

大学生同棲中主花:センセイ視点です。
ある春の日に、陽介からの一大告白をされたセンセイは?

三年



契約の更新

な、感じで。
いってらっしゃいませ。

拍手[4回]



言われたのは朝一番に。
リビングの床に、
二人向かい合って正座する。

あまりに尋常でない
その様子に『別れ話か?』と
最悪の事態を想定したけれど
どうやらそれは違うらしい。

緊張した面持ちで俺へと
向かい合う陽介が、大きく息を吸うと
必死の形相で叫んだ。



「すす、好きだ! 悠!
 俺と付き合ってください!!」

「……は? 陽介??」


俺は久しぶりにあらぬところから、
素っ頓狂な声を上げてしまった。



春も終わり。
新学期の学生たちがそろそろ
生活に慣れてくるころ。

俺たちが暮らすマンションにも
暖かい風が吹き込んできて
カーテンを優しく揺らす。

そんな穏やかに季節に。

俺たちはリビングの床に正座をして、
睨み合うみたいに
お互いに向き合って座っていた。

どう見ても色気もなにもない
ヘタをしたらこの後
殴り合いに発展するのでは?
な、位の形相の陽介に。

俺は『愛の告白』とやらをされていた。



「えっと…陽介? それはどういう意味で?」

「だ、だから! 好きだって!
 付き合って欲しいって! そそ、そーいう意味です!」

「……」


俺はいつの間にか耳がおかしくなってしまったのか?
確か俺たちはすでに付き合っていたハズで、
しかも一緒に暮らしていて…。

もしかしてお前の中で俺は
そういう存在じゃなかったってことか?
遊びとか、成り行きの上での
なし崩しの関係だったとか?

俺が困惑した表情で聞くと
慌てて『そうじゃねー!』と否定する。


「じゃあ、一体なんなんだ?」

「そ、それは……その…だだ、だから、すす好き…なので…!」

「えっと…陽介、言葉は嬉しいんだけど…」

「ちゃ、ちゃんと言わないと! と、思ったんだ! 今日中に…!」

「……今日?」

「そそ、そうだ! 今日だ!」


なんで……今日?

なにがどうして期限付き?
さっぱり分からない事態に
俺は自らの眉間に軽くシワが刻まれたのを感じた。

そんな俺を尻目に、噛みまくりながらも
俯いて話し出した陽介の口からは、予想もしない話題が出てくる。


「れ、恋愛の期限って三年なんだっつーから…っ」

「へー…そうなんだ…」


恋愛の期限か…なんかどこかで
聞いた覚えはあるけれど…。
確か三年を機に、カップルの
別れる率が高くなるとか、なんとか…。

でも、それとこの状態とが擦り合わなくて
俺は依然として困惑したままだった。

そんな俺に気がついたのか
陽介はさらに必死な様子で
(陽介なりに)俺に分かるように話し始めた。


「き、今日は、お前と出会って三年だ!」

「え? あー…うん? だから?」

「だ、だから…今日って言う大事な日に、
   もっかい俺からちゃんと言って…っ」

「…うん?」


もう一回? 一体なにを?
さっきの『愛の告白』か?
うん? …あれ? ……それって…

俺の中であと少しで回答が弾き出されるかもって時に、
必死な形相の陽介から、俺の思考を横殴りする様な
『ブレイブ・ザッパー!』的な何とやらが繰り出され
俺はそれを真正面からモロに食らった。


「そそ、そんでもって、もっかい俺に…その…
   こ…こ…『 恋 』とやらをして…頂こうかと…」

「……は?」







コイ? こい? KOI?
って……もしかして、恋か?
え? ……え?

固まった俺の目の前では
『別れるのヤだし!』とか、
『もっと一緒にいたいし!』とか、
『俺も最大限の努力してみせっから!』とか、
『俺のダメなトコとか教えて欲しいんだ!』とか、
なんだかすごく可愛いことを
言ってくる陽介がいる。

俺は予想だにしない展開に
視界と思考がグルグルする。

終いには、立っているんだか、
座っているんだかよく分からない程
フワフワとした感覚に襲われて
思わず顔半分を手で覆って唸った。


「ゆ、悠? どした? …なんか真っ赤だぞ?」

「……誰のせいだと…」


この天然が…普通そういうのって
こんなにキッチリ言ったりするのか?
あー…そうか、陽介か。
そうか、陽介だった…うん、ごめん。
俺が悪かった……完敗です。

真っ赤になったまま
うつむく俺を見て
陽介は更にパニくったのか
噛みまくりながら言った。


「だ、だって! その…っ…」

「陽介……だから、つまりは?」

「へ?? つ、つまりは…」


真っ赤なままの俺が次を促すと
陽介はしどろもどろになりながら
俺と同じくらいどころか、それ以上のまるで
ゆでダコのごとく真っ赤に染まった顔色で
次を言った。


「う、うう…ひ、日頃から 色々と
 ご面倒をおかけしている身で大変恐縮なんですが…」

「え? ああ…うん…そうだな色々あるな、毎日すごい大変。」

「そこ否定しろよ! そんなことないとか、
 俺も色々助けて貰ってるとか! 色々言い方があるでしょーが!」

「…陽介から言い出したんじゃないか」

「うう…そ、そーなんですけどぉぉ…」


うなだれる様子が面白くて仕方ない。
俺はひとつ苦笑すると少しだけ
顔を上げて言った。

『とりあえず落ち着け。
 前置きが長い、分かる様にきちんと簡潔に。』

そう再度促すと、
俺に向けられている丸い頭が
うんうんと唸るみたいに上下に揺れたと思うと
ふと上がって、懇願するみたいな様子と視界で
俺だけを見つめて言ってきた。



「だ、だから…お前が好きなので、まだ一緒にいたいので、
 そそ、そーいうトコも含めた俺を何卒ひとつ…
 もう一度、丸ごと愛して頂けないかと…」

「……っ…」


なんかもう、そんなに好き好き好き好き
言われたら、なにをどう言ったって
敵わない気がして来る。

俺が持つ国語力や、果ては持ちうる全ての
言霊級を駆使したとしても
お前の思いを込めた一言の方が
何倍もすごい気がして来る。


「本当に陽介は…」

「へ? な、なに?」

「べつに…」


小首を傾げたその仕草になんかこう…
俺の中の何か色々なソレが
崩れそうになるんだけど、
とりあえず今だけは理性とか、
社会性とかでソレに蓋をした。

でも嬉しいとかには
さすがに蓋は出来なくて。


「ちょ…悠! わ、笑うな! こら!」

「いや…本当ごめん…陽介が、あんまり必死だから…っ」

「あーもうーー! なんだよ…俺がせっかく…」


途端、俺は突っ伏して
肩を震わせて笑う。

けど、本当は嬉しくて、笑ってるんだ。
嬉しくてどうしようもないから顔を、
上げるコトが出来ないんだよ、陽介。

きっと今の俺はとんでもなく
酷い顔で笑ってる。
どうしよう、嬉しくて泣けてくる。
まずい…本当に泣くかもしれない。
嬉しくて。



「悠? どした? 大丈夫か?」

「……ありがとう、陽介」

「へ??」


きょとんとした表情。
俺はその表情に例えようもない
気持ちを感じて、つい黙り混んでしまう。

俺はてっきり、もうお前に飽きたんだとか、
ウンザリだとか、いい加減にして欲しいだとか、
そんな耳を塞ぎたくなる様な最悪の言葉を覚悟していて。

なのに、お前はそんな可愛い理由で
俺を必死に繋ぎ止めようとしてくれてるなんて。

そんなこと微塵も想像もしていなかったから、
俺は嬉しくて、泣いてしまいそうになる。

お互いに難しい恋愛だろうに、
上手くいかないときもあるだろうに。
それでも俺を必要としてくれてる。
『契約の延長』を自ら申し出てくれてる。
こんなに嬉しくて、幸せなことはない。



「悠?」

「なんでもない…大丈夫だ、陽介」


ぐっと堪えて、笑う。
俺はいま幸せの中に立っている。

出会って三年?
そんなのあっと言う間だったよ。
お前と一緒だと楽しくて時間は
とても早く進むみたいだ。

最初の一年はあの事件から、
駆け抜けるみたいに過ぎ去って
後は愛おしむみたいだった。

それらは俺の中で
未だ忘れられない思い出で。
その中でも、お前との記憶が一番
鮮やかで幸せな色をしている。



「うん、大丈夫。」

「な、なにが?」

「惚れ直した、たった今。」

「ほ、ホントか?」


途端嬉しそうな顔して…
その仕草や様子にいつもほだされる。
ほら、やっぱりお前にはかなわない。
俺は笑ってうなずいた。


「うん、惚れ直した…さすが俺の陽介。」

「うっ…ば、バカ! 褒め過ぎだ…っ」


そう言ったらまた更に真っ赤になるお前がいて。
そんなお前を見て、俺はやっぱり幸せで。


「陽介、今後ともよろしく。」

「おう! 相棒!」


そう言って満面の笑みを浮かべた顔は、
年を重ねてはいるけれど
根本はあのころと全然変わらなくて。

俺はその笑顔に向けて最大級の
感謝を込めて、笑いかけた。






「そういえば、陽介…」

「ん? なんだ? 悠?」

「あのさ、盛り上がってるとこ悪いんだけど…」

「うん?」

「今日は俺たちが出会った日であって、
 付き合い始めた日じゃないと思うんだけど…」

「え? …ええぇぇ?!」


まるでマンガみたいに、飛び上がる様に驚く陽介。

さすが陽介、いつも通りのクオリティ。

俺はその様子がまた面白くなってしまって、
いつもの悪い笑みを浮かべて問う。


「はい、では陽介さんに問題です。
 俺たちが付き合い始めた日はいつだったでしょうか?」

「え?! うぇ…えっと…」

「……陽介さん? いつですか?」

「ううぅ…い、いつだっけ…??」


早々のギブアップ。
バツが悪そうに笑って目を逸らす陽介に向かって
俺はワザとらしく口を尖らせると言った。


「うわーショックーガッカリーサイテー」

「るっせー! るっせー! るっせー!
       ざ、ざーとらしく言うな!」

「まぁ、それも陽介のいいところか…」

「なんだよ…それ…」


ガッカリも何もかも、
お前なら何をどうしていくらでも。

清濁どころか、お前の中の何もかもを
受け入れる自信があるから。
だから、どうか宜しく、これからもずっと。

俺も俺の最大限とやらで、
お前をなんとか繋ぎ止められるよう努力するから。

だからどうかもう一度、こんな俺でも何卒ひとつ
丸ごともれなく愛して欲しい。

三年どころか、一分でも一秒でも長く
お前の傍にいたいから。



「でさ陽介、これ…三年ごとにやってくれるんだよな?」

「うぇ?! ……う、うん…た、多分…」

「期待してるから。」


そうして俺はやっぱりニヤリと笑って、
陽介はそんな俺を見て、またいつもの様にニカっと笑う。


今日これから三年後の春の日に、
出来たらまたこうやって
二人で顔を突き合わせながら
愛の告白とやらをしようか。

好きだよとか、
まだまだずっと一緒にいたいとか、
思いつく限りの言葉で。

今度は是非、俺からでも。


Fin












お疲れ様でしたーーー(礼)
あんまり考えないで書くとこうなる…(反省)
もっとこう展開とかズルズルしない方向でガンバリマス;;

きっと陽介は大学の友達とかから聴いて、
『え?!マジ?!』って考え込むと…勝手に妄想(苦笑)
で、もうっかいちゃんと告白…みたいな(笑)
センセイは『それって俗説ってヤツなんじゃないか?』とか
『そういうの俺は例外だから(笑顔)』みたいなん…(笑)

楽しんで頂けたら幸い。
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