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【僕が僕であるように、君が君であるように】

大学生編ー。同棲してる設定ですーーー。

風邪

鼻歌

歌の名前

な、感じで。
いってらっしゃいませ。

拍手[2回]


















陽介の鼻歌が聞こえた。
リビングの奥、陽介の部屋の中から。

俺はそれを聞きながら
軽く汗ばむ額を指先で撫でながら
深く息を吸い込んだ。

季節の変わり目のせいか
若干体がだるい…風邪をひいたのか?


そう考え込んでいると、また鼻歌が聞こえる。
俺はそれに耳を傾けて目を閉じた。
心地いい感覚に自然と心が安らいだ。

そういえば、出会ったころも
こんな感じで…

 

 

「悠?どした?」


「え?いや…別に…」


鼻歌に聞き入ってしまっていた俺は
不覚にも陽介が近づいて来ていたことに
気づけなかった様だった。

意外と目ざとい。
そう思うことが多々ある。

俺でも気づき辛い俺自身の変化に
お前はこうやっていとも簡単に
気づいてみせたりする。


「なんかおかしいぞ?お前」


「あ…と……ごめん…実は少し調子悪い…」


「やっぱりか…目が充血してる」


覗き込んで来る陽介の視線から
逃れられるわけもなく。

バレてしまったのなら隠しているのはフェアじゃない。
というか、これ以上隠したらきっとお前は
怒ってしまうだろうから。

俺はお前が気づいてくれた時には遠慮なく言うことにしてる。
これはお前が教えてくれた距離。

それでも俺はお前にあまり心配を掛けたくなくて
実状よりも幾分か、なんでもないフリをしてしまう。
これもきっと、俺自身が持っている距離ってことなんだろう。


「いいよ…少し休めば治るから…陽介は先に寝てて」


「バカか、心配で寝れねーって。お前ギリギリまで我慢すっから」


そう言って少しだけ熱を持った俺の頬に触れる。

その言葉に俺がどれだけ嬉しい思いをしているか、
お前はきっと知らない。


「そうか、ごめん……」


「バカ、謝んな……ほら、いいから寝てろ」


陽介は俺を半ば強引にベッドへと
促し、自分は隣の部屋へと消えた。
服を着替えて、ベットへと寝そべって天井を見ると、
暫くして陽介が部屋へと入って来るのが判った。

 

「陽介、ごめん…心配掛けて…」


俺の言葉に陽介は苦笑いすると、
手に持った体温計を慣れた手つきで操作しながら言った。


「俺さ…朝起きてお前がおはようって言ってくれるのが、すげー嬉しいんだ」


「え?あ、うん…」


陽介からの突然の言葉に、俺は不覚にもぼんやりする。
手の中の体温計を振りながら、ベッドへと寝そべる俺の目線に
合う様にしゃがんで言った。

 

「だからさ…早く良くなれよ」


そう言って、優しい目と声色で
俺の全部に触れた。


「…っ………」


「どした?悠??」


お前からやんわり触れられることに
俺は敏感になってる。

陽介は陽介ってだけで、俺を浮上させる
効力があるらしい。

 


「陽介…俺、熱上がったかも…」


「え?嘘?!だ、大丈夫か?!」


「もうダメだ………陽介のせい」


「え?えええええ?!俺?!なんで?!」


「わからないなら、いい…」


面白い。
どうしよう?陽介
お前はお前であるだけで。
俺を際限なく、高く高く浮上させてくれる。

 

「お、おま…からかったな?笑ってんだろ?!」


「いや…笑ってるのは笑ってるんだけど…っ」


意味が違う。
そうお前に告げた。

肩を震わせて笑ったままの俺を見て
幾分意味を察したのか、陽介は少しだけ
頬を染めて言った。


「う…と、とりあえず…調子悪ぃなら、粥かなんか作ってやっから…」


「…え………………出来るのか?」


「っせーな!それくらい出来ますーー!」


そう言ったお前は、照れ隠しなのか
そそくさと台所へと消えてしまった。
そんなお前の姿を、俺は視線でいつまでも追った。
いつまでもいつまでも追う。

それがそうであるように、
俺が俺で、お前がお前であるように。
お前が心配してくれる様な
この距離感が嬉しい。

気がつくと、聞こえてきたのはお前の鼻歌で。

あの日から変わらない心地と
その明るさが今でも俺を照らしていて
くれるような気がした。


「…っ………」


俺は笑う。
ああ…熱、本当に上がったかもしれない…
お前のせいだよ…陽介…


「そういえば…なんて歌なんだ?それ………」


今更と言えば今更で。
いままでお前の鼻歌が心地よくて
それがどんな歌か、なんの歌かなんて
聞く必要がないほど、
俺はそれに聞き入っていたのが判った。

本当に今更なんだけど…


「陽介…それ…」


言いかけて止めた。
まずは今日はこのまま休んで。

そして、明日の朝一番に
陽介に“おはよう”って言う。

相変わらずの鼻歌が聞こえてくる。
俺はその音と声に聞き入る。


「で……明日の朝、それがなんて歌か聞いてみよう」


俺はお前の鼻歌を聴きながら、
密やかにそう決めた。

Fin







 

 

 

ホントは、はなぷちRのペーパーラリー用に
書いていたお話なんですが、
いきなり一緒に暮らしてる設定ってどうなのよ?と(笑)
ただでさえ、ウチの創作唐突で、ぽかーんなのに
さらにぽかーんだわーと止めてこっちにUP(苦笑)

まぁ、実際は鼻歌を歌うなんてシーンは
観たことがないんですが…ほら…♪がね?
(なにそのぼんやり設定;;;)

楽しんで頂けたら倖い。

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