Polaris
『ペルソナ4』の鳴上悠×花村陽介(主花)で文字書き。
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【The Beautiful World】
2012年スパコミでの新刊のサンプルです。
(通販用)
【The Beautiful World】
ペルソナ4 鳴花
ダンジョン内でケンカを始めた二人は?
いってらっしゃいませ。
【The Beautiful World】
この手は離さない、本当にそう思う
屈託の無い笑顔で何度も俺を導いてくれた、
この手を離すことなんて考えられるわけがない。
でもそれが……だったら?
俺はきっと、躊躇なくこの手を離す。
それを知ったらお前はどんな顔をするんだろう。
「陽介…手…離せっ…無理だっ…」
「っせーーーー!!」
そう言いながらも握られた手が
ズルズルと滑り落ちてゆく感覚がした。
それを阻止しようと、陽介が身を乗り出して
繋がれた手を必死で掴んでる。
先程の戦闘で、陽介と俺。
二人だけがみんなから引き離されて
反対側まで来てしまっていた。
なんとか戦闘には勝利したが、シャドウから
放たれた爆発が辺り一帯を破壊して、
立っていた場所が足場から崩れ、俺だけが落ちた。
「悠…っ…くそっ……手が…っ」
「陽介…っ」
なんとか繋がれた手と手。
体重差があるから、陽介が俺を独りで
引き上げるのには無理があるだろう。
異世界とは言え、重力があるのは確かなのだから。
「陽介…頼むから…っ…離せ…俺のことはもういいから…っ」
「うるせーって言ってんだろーが!!」
陽介が乗っている足場が軋む。
先程の戦闘でこちらも壊れたのか、金
音を立ててあちこちから脆く何かが落ちてゆく。
このままじゃ二人一緒に落ちてしまう。
もし俺がダメでも陽介だけは…
痛いほど掴まれた手をなんとか解こうと
俺は躊躇なく指を動かした。
その動作に、俺の手を掴んでいる
陽介の手がビクリと震える。
「おま…っ…ふざけんな…っ…ダメだっ…!」
何かを悟った陽介が俺に怒鳴る。
それでも俺が手を解こうと指を動かすと、
繋がれた指が陽介の手の中から
一本づつ離れてゆく。
その途端、悲鳴みたいな陽介の声が聞こえた。
「やめろ!やめろ!やめろって…っ!!嫌だっ!!」
上から何か冷たいものが落ちてくる。
水?水滴?俺の顔面に降っては、流れ落ちる。
僅かに見上げると、目を見開いたままの陽介の
瞳から溢れるみたいに落ちてくる涙だった。
それは手だけじゃなくて、俺の気持ちまで一緒に
繋ぎ止めようとしている様だった。
「…やめろっ…そんなことしたら絶対許さねーからな…悠…っ」
その水滴が綺麗で俺は一瞬見惚れた。
オレンジ色の縁の眼鏡から伝って落ちてくる。
綺麗すぎる願いみたいな色をしてた。
「そんなことしたら俺も一緒に落ちるからな!」
「そしたら俺も一緒に死ぬ…だからっ…俺が死ぬのはお前のせいだっ!」
なんだよそれ。
そんなこと言われたら離せない…まるで人質だ。
そんなことを言われたら俺が手を離せないのを
知ってるんだ……ズルいよ…お前は。
でも、このままじゃ本当に二人とも…。
下を見ると、暗く深くて底が見えない。
本当に奈落の底。
きっと、落ちて底に叩きつけられたら跡形も無い。
そんな何もかも飲み込むような奈落の底。
あまりの深さに意識だけでも
吸い込まれそうになるほどだった。
「悠…っ…おい…悠!…っ」
「陽介…」
下を見続ける俺に陽介は必死で呼びかけている。
今にも泣きそうな顔しているのが見える。
分かった…分かったから。
お前を残して行ったりしないから。
陽介の手の中に残った俺の指再度確認する。
残りは僅かに2本で、陽介はそれを必
死に掴んでいる…ここまで自分でしておいて何だけど、
陽介にあそこまで言われたら他の方法を…
と、見えない思案の先に意識を漂わせていたら
背後から力強い声が上がった。
・
・
・
・
・
・
つづく
(通販用)
【The Beautiful World】
ペルソナ4 鳴花
ダンジョン内でケンカを始めた二人は?
いってらっしゃいませ。
【The Beautiful World】
この手は離さない、本当にそう思う
屈託の無い笑顔で何度も俺を導いてくれた、
この手を離すことなんて考えられるわけがない。
でもそれが……だったら?
俺はきっと、躊躇なくこの手を離す。
それを知ったらお前はどんな顔をするんだろう。
「陽介…手…離せっ…無理だっ…」
「っせーーーー!!」
そう言いながらも握られた手が
ズルズルと滑り落ちてゆく感覚がした。
それを阻止しようと、陽介が身を乗り出して
繋がれた手を必死で掴んでる。
先程の戦闘で、陽介と俺。
二人だけがみんなから引き離されて
反対側まで来てしまっていた。
なんとか戦闘には勝利したが、シャドウから
放たれた爆発が辺り一帯を破壊して、
立っていた場所が足場から崩れ、俺だけが落ちた。
「悠…っ…くそっ……手が…っ」
「陽介…っ」
なんとか繋がれた手と手。
体重差があるから、陽介が俺を独りで
引き上げるのには無理があるだろう。
異世界とは言え、重力があるのは確かなのだから。
「陽介…頼むから…っ…離せ…俺のことはもういいから…っ」
「うるせーって言ってんだろーが!!」
陽介が乗っている足場が軋む。
先程の戦闘でこちらも壊れたのか、金
音を立ててあちこちから脆く何かが落ちてゆく。
このままじゃ二人一緒に落ちてしまう。
もし俺がダメでも陽介だけは…
痛いほど掴まれた手をなんとか解こうと
俺は躊躇なく指を動かした。
その動作に、俺の手を掴んでいる
陽介の手がビクリと震える。
「おま…っ…ふざけんな…っ…ダメだっ…!」
何かを悟った陽介が俺に怒鳴る。
それでも俺が手を解こうと指を動かすと、
繋がれた指が陽介の手の中から
一本づつ離れてゆく。
その途端、悲鳴みたいな陽介の声が聞こえた。
「やめろ!やめろ!やめろって…っ!!嫌だっ!!」
上から何か冷たいものが落ちてくる。
水?水滴?俺の顔面に降っては、流れ落ちる。
僅かに見上げると、目を見開いたままの陽介の
瞳から溢れるみたいに落ちてくる涙だった。
それは手だけじゃなくて、俺の気持ちまで一緒に
繋ぎ止めようとしている様だった。
「…やめろっ…そんなことしたら絶対許さねーからな…悠…っ」
その水滴が綺麗で俺は一瞬見惚れた。
オレンジ色の縁の眼鏡から伝って落ちてくる。
綺麗すぎる願いみたいな色をしてた。
「そんなことしたら俺も一緒に落ちるからな!」
「そしたら俺も一緒に死ぬ…だからっ…俺が死ぬのはお前のせいだっ!」
なんだよそれ。
そんなこと言われたら離せない…まるで人質だ。
そんなことを言われたら俺が手を離せないのを
知ってるんだ……ズルいよ…お前は。
でも、このままじゃ本当に二人とも…。
下を見ると、暗く深くて底が見えない。
本当に奈落の底。
きっと、落ちて底に叩きつけられたら跡形も無い。
そんな何もかも飲み込むような奈落の底。
あまりの深さに意識だけでも
吸い込まれそうになるほどだった。
「悠…っ…おい…悠!…っ」
「陽介…」
下を見続ける俺に陽介は必死で呼びかけている。
今にも泣きそうな顔しているのが見える。
分かった…分かったから。
お前を残して行ったりしないから。
陽介の手の中に残った俺の指再度確認する。
残りは僅かに2本で、陽介はそれを必
死に掴んでいる…ここまで自分でしておいて何だけど、
陽介にあそこまで言われたら他の方法を…
と、見えない思案の先に意識を漂わせていたら
背後から力強い声が上がった。
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つづく
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