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【*My Darling Bluebird*】サンプル

2012年シティでの新刊のサンプルです。
(通販用)

【*My Darling Bluebird*】

いってらっしゃいませ。


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【*My Darling Bluebird*】


カンカンカンカン頭に響く。
なんか音が聞こえるんだけど、
まるでBGMみたいでその音は外側に居る。
実はこの音が何かは分かっているんだけど、
俺はそれを認めたくなくて揺ら揺らしてる。

「なんかカンカンカンカンって、音でけーな…」
「ああ…踏切の音だな。ここから近いから」

そう、それは踏切の音で。
これが聞こえるってことは、
電車がすぐそこまで来てるってことで。
その電車が来れば、お前はまた
元の所に帰るわけで。
そのことに子供みたいにイライラする俺を
そのままに、悠はいつもと変わりなく
普通に歩いて普通に会話してる。
まるで俺だけが分かれを惜しんでいるようで
なんだか納得がいかない。

連休を利用した帰省の最終日。
悠は仲間に再会の約束をして別れると、
俺と二人だけで駅に来ていた。

悠は勿論このまま実家に帰るつもりで。
俺も勿論、悠を見送るつもりで…でも、
寂しさと名残惜しさに、翳ってくる陽と心が、
まるで比例してるみたいで、駅に近づくたびに
俺の口数は少なくなっていった。
ホームに着いた今もそれは同じで、
俺は響く踏切の警報音にさえイライラしてる。
そんな時に悠が暢気に、ぼんやりと呟いた。

「あ…あの鳥、なんて鳥だろう」
「は?ああ…なんだろーな…」

こんな時に鳥の話かよ!と俺が少しイラつきながら
悠が指差した方向を見ると、確かにそこには
瑠璃色の鳥が居て、こっちを見てた。
どう見てたとかじゃなくて、
なんとなく見られているような気がして
俺は反射的に視線を逸らした。
じっと見てくる瞳がなんとなく悠に似ているような…
そんな感触が俺をおかしな方向へ進ませる。

寂しいって…離れたくないって、
お前が困るような言葉ばかり出てくる。

「ちょ…痛い…痛いって陽介」
「っせーー………」

それがたまらなく嫌で、
自然とお前の背中に自分の頭でぐりぐりした。

「また、すぐ帰るから」

そう言って笑った様子のお前。
なんだよ、バレてんのか。
それでもお前は平気そうに笑っている感じがした。
なんだよ…ソレ。

「すぐっていつだ?」
「次の休み」
「それっていつだ?」
「……明確な日付ってことか?」
「…いつだ?」
「今から…あと…」

子供みたいな俺の問いに、普通に答えようとするお前に
再度俺は頭で打撃を加えた。

「痛い…陽介…痛いって……」
「…… い つ だ ?」

お前から感じる、ビックリしたような背中の動きと、
仕方ないな…って言う気持ちの動き、
両方が一緒になって俺の打撃を受け止めた。

「何ヶ月で帰ってきて欲しい?」

そう言ったお前を見ることが出来なくて、
俺はお前の背中で唸った。
なにやってんだ、俺は。

「何十日で帰ってきて欲しい?」

お前はそのまま続けて言う。
まるで聞いたこともない呪文みたいだ。
それでも俺はみっともなく、
ぐりぐりぐり…
上着に両手を突っ込んだまま、頭だけで
ぐりぐりぐり…

唸るまま、ぐりぐりする奇妙な動きを
お前はずっとそのまま、怒るわけでもなく
受け止めてくれて。

「何日で帰ってきて欲しい?」

困るわけでもなく、呆れるわけでもなく
お前はそのままそのぐりぐりを受け止めてくれて。
俺もそのまま、お前に甘えてぐりぐりするん
だけど、もう電車は近くまで来ていて。

「あ…電車来たな」

また、暢気な悠の声。
俺はそれを聞こえないフリをした。

それでも、その短い車体は
ホームへと当たり前の様に入ってきて、
冷たい感触のドアを開けるとまるで俺に向って
促すみたいに車内の空気を匂わせた。


「帰んな…」
ドアが開いた瞬間、何も考えずに
口から出た言葉がそれだった。

バカを言ったと思った。
言わないでいたことを言ってしまったと
舌打ちする。
なのに、バカな俺は未だお前の背中に
ぐりぐりしてて、それを止められない。
そして、それもバカな行為だと
俺はやっぱり気づいているわけで。

「そうだな…それもいいか」
「え?悠?」

俺が自己嫌悪に押しつぶされそうになっていると、
お前はまるでふと思いついたように呟いた。

「陽介、いいこと言うな」
「は??悠??って、うわっ?!」

途端、お前の背中にぐりぐりしてたバカな俺の
手を掴んで、お前はまるでふわりと飛ぶように
音もなくそのまま電車へと駆け込む。

俺も繋がれた手を解けないまま、
そのまま一緒に電車へと駆け込んだ。

「このまま逃げようか?」

悠は乗車した途端振り向いて、
壊れるみたいにそう言って微笑んだ。







こんな感じで続きますー
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