忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【君に夢中】

ちょっとだけ大人向けー??;;;
テスト勉強中。

夢中

G線上のアリア

無意識

な、感じで。
いってらっしゃいませ。

拍手[7回]



















「ほら…陽介、集中して」


「わ、わーってるよ!」


夕方前の堂島家。
二階にある俺の部屋で
間近に迫ったテスト対策の勉強中。

頭を抱えて教科書に向う陽介を見て、
普段からちゃんとやっておけば…なんて言葉が浮かぶけど
それはきっと禁句なんだろう。

唸りながらも必死に取り組む姿に
俺はなぜだかとても嬉しくて
自然と頬が緩んだ。


差し込む陽が、色を変えてゆくのが判る。
もうすぐ夕焼けが来ると言っているみたいだった。

そんな中、遠くの方で、くぐもった様な音で
何かを奏でている音が聞こえた。

 

「んー………って何か聞こえねー?」


「え?…ああ……『G線上のアリア』だったかな?」


「へー…よく知ってるな…お前ってそういうの詳しい人?」


「別に詳しいわけじゃない、結構有名な曲だしな
        トランペットってのが珍しいってだけ」


「そうなのか?」


「ああ…普通は…って、ほら…陽介、手が止まってる」


「いいじゃん!ちょっとだけ休憩!な?いいだろ?」


「まったく…」


そうお願いされたら俺が断れないのを
お前はよく知ってる。

ずるいな、本当に。

あまり進んでいないテキストを見ながら苦笑する。

俺は用意していた麦茶をグラスへと注いで
陽介へと手渡すと、音がする方へと意識を委ねた。

 


「なあ…トランペットだと珍しいのか?」


「ん?…ああ…まぁ、普通は弦楽器とか…トランペットで
          しかもソロでやるのは珍しいと思うよ」

「へー……」


余程興味があるのか、
陽介は麦茶を受け取った手で
外を指差し聞いてきた。

そこまで詳しくは無かったけれど
見知った知識を披露すると
陽介は目を輝かせて大人しく聞いていた。

そんな表情だけでも、もっと聞かせてやりたくなる。
そう思ったなんてことは、ぐっと堪えて隠したけれど。

 

「陽介、ギター弾けたよな?今度聞きたいなー…今日のお礼に」


「え?…が、楽譜は…??」


「なしで」


「ええええええ?!」


今、聞こえている音を暗譜しろと言うと
まるで飛び上がる様に驚く。

そりゃ、初見で弾けって大変だろうけど
なぜか我儘を言いたい気分だった。
普段見られないお前が見たいって思うのは
きっと我儘なんだろう。

でも、こんな気持ちを持つ自分が
なんだか少し面白い。

今まで無かったことに
俺が一番驚いてる。

お前と一緒にいることが
心地よくて、嬉しくて、きっと
もうどうしようもないんだろう。

 

「今日、ギターあったら聞けたのにな…」


「そ、そんなに聞きたいのかよ…」


「聞きたい…陽介ってなんか手…やらしいし?」


「笑顔で言うな!…褒めてないデス…それ…」


「まぁ、いいか…」


「んだよ…それ…」

 

途端引っ込める俺に
陽介は不審そうな顔をする。

だって、今もきっと普段じゃ見られない顔とか
してくれてるのかもと思うと、
自重しようと言う気になってくる。

それは、あまり我儘を言って
お前に嫌われるのが怖いのか。

それとも、俺自身にも判らない
何か別の感情が働いているのか。

さっきの出来事から少し経過した
夕焼けが部屋を照らし出した今だって、
まったく判らない。

こんな風にお前の前でだけ
揺れる俺が面白くて仕方ない。

もっと揺らして欲しい…
外のことなんか気にならなくなるくらいに。

 


「んー……しゃーねーなぁ…」


「ん?陽介??」


俺が気を取られていると、
陽介がいつの間にか背後へと回って
そこへと座り込んだ。

弾き方だけ教えてやる…とか、
今日のお礼だとか…なんだか珍しく
言い訳みたいな言葉で俺を言いくるめようとするから、
それがとても面白くて、俺はそのままそれに乗ってみる。

 

「こうやって…ココ押さえる…で、こう」


「ふーん…それっぽいな…」


「なんだそれ…ほら、このまま続けて…こう…」


「うん…あ…なんか指痛い…かも」


丁寧に教えてくれる仕草に
俺の中身は単純にも、すごく嬉しくなってしまって
そのままされるがままに指を動かした。

途端、普段しない無理な指運びに
間接が少しだけ悲鳴を上げる。

少しだけ指が引きつる感覚がした。

俺の声を受けて、陽介は少しだけ
困ったようにすると、俺の手の上へと自分の手を重ねて
まるで俺の手を守るみたいにやわく触れて言った。


「あー…ちょっとだけ我慢な?
  そんな続けて弾かなきゃ吊るなんてことねーから」


「うん…続けて、陽介」


「おう、相棒!」


ニカっと音がするみたいに笑う。
俺も釣られて笑った。

お前と重なる手がすごく嬉しいなんて、
単純で馬鹿みたいだけれど
出来るだけ長く触れていて欲しいと思うのは
俺にもよく分からない、お前へ宛てた俺の変化なんだろう。

ぐるぐる巡って変わる俺の中身が
気がつくとお前中心で回っていて
それが面白くて仕方ない。

いつの間にこんなことになったんだ。
俺は。

 

 

「本当に魔術師なのかもな…陽介って」


「は?悠??何言ってんの?お前???」


「いや…なんでもない…」


俺が苦笑すると、
お前は不思議そうに首を傾げた。

俺自身にも分からない変化に
お前は絶妙のタイミングで
攻撃を仕掛けていることに全然気づいてない。

気づかれたら困るけど、
全然気づいてくれないのも少し困る。

お前の無意識が、
意識する俺を酷く揺らすから
実の所、油断出来なくてとても困る。

無意識に気づくなんて出来ないだろうから、
俺はお前からの一挙手一投足に
全てが惹きつけられて仕方ない。

本当に、いつからこんなことになったのか…。

そんな風に俺が考え込んでいると、
ふいに陽介が顔をにやけさせながら呟いた。

 

「なんかさー嬉しいなーこういうの」


「ん?嬉しい?」


「いつもお前に教えて貰ってるだろ?でも今日は逆」


「ああ…そうだな…いいな…こういうのも」

 

いつも教えて貰ってる…か。
お前はきっと気づかないんだろう。
俺の方が教わってる。

お前の中の、何か色々な全部を、
取りこぼさない様に必死になって
お前の全部を追いかけてる。

別段、隠すのが上手いわけでもない気がするのに、
実の所、本当はとても隠すのが上手くて。

だから、俺はお前を逃さないように必死になる。

お前から与えられる全部に
俺は必死になる。

だから…もう少し、気づいてくれても
いいんじゃないか?と思う。

俺がお前に必死なのを。

 

「だろ?カッコいいだろ?俺」


「ああ、惚れ直した」


「ば…………バカか………」


調子に乗って笑うから、
俺も嬉しくなって素直に言ったのに
その言葉にお前は途端に真っ赤な顔をして俯いた。

傾く陽が段々と目に痛くなる。
重なる影が色を濃くして
夜が近いことを教えてくれた。

濃くなる影に段々と
お前の表情が見えなくなるのが嫌で
俺はお前を更に覗き込もうとするんだけど
お前はお前で、俺からの視線から逃げるように
顔を背けてまんまと逃亡を図る。

また、無意識の攻撃。
それが一番効くんだ。

お前を追いかけたくて仕方なくなる。
ずるいよ、お前は。

 

 

「陽介から言ったんじゃないか…」


「そりゃそうだけどよー…」


「惚れ直したよ…本当に」


極端に言えば、毎日。
なんて言ったら、お前はどうするんだろう。

重なる影のせいで
お前の顔がよく見えないけれど
息遣いだけでもその様子が感じられて
少しだけ可笑しかった。

きっとまだ真っ赤な顔をしてるに違いない。
もっともっと追いかけたい。

そんなことばかり考える。

 


「…うぅぅ…もういーって」


「なんだよ…褒めてるのに…惚れ直したよ……すごく」

 

未だ遠くで聞こえるアリアに
意識が飛ぶ。

気だるい音が辺りに響いて反響する。

それは背中から感じるお前の体温みたいで、
気だるいのに心地よいような不思議な感覚がした。

 


「悠…」


「ん?」


やっとこっちを向いてくれたかと、
俺が思わず嬉々としてお前へと向くと
一瞬、何かが唇を掠めた。

 

「っ……」


「…麦茶の味がした」


「っつっせー…言うなっつーの…」


そう言って、俺の肩へと額を置くと、
逃げるみたいにまた顔を背ける。

なんか珍しく向こうからキスしてくれたのに
あまりにそれは一瞬だったから
俺は少し不満で“1 MORE”を
お前へと促した。

 

「む、無理っ!!」


「……がっかり…」


「っ…つっせー!」


今度も、やっぱり真っ赤になって俯くお前。
俺はそれが可笑しくて笑う。

ゆらゆらしてて本当に面白い。

顔を上げて欲しいと、肩を揺らして促すと
お前は意外と素直にこちらを向いてくれた。

 

「俺ばっかり嬉しいのは不公平な気がするんだよ…」


「は?悠??」


そう言って、触れたままの手指を繋ぎあわせると
お前へと体重を掛けて、そのまま畳へと押し倒した。

 

「な?!…ゆ、悠…ちょ、ちょっと待て…!」


「ダメ…待てない」


俺がニヤリと笑うと、
お前はまるで捕食されたみたいな顔をする。

それは絶対外で見せるなよ?
そう俺の中身が呟いた。

お前の全部が欲しいから。
だから、どれも取りこぼしたくないし、
迂闊に外に漏らしたくも無い。

だから俺をもっと夢中にさせて欲しい。

もっと揺らして欲しい、
お前のことしか考えられなくなるくらいに。

 

 

 

 

 


寝転んだ状態でお前の髪に触れた。
ぼんやりとする意識。

いつの間にか、あの演奏は終わっていて、
俺はそれに気づかないまま
過ごしていたことに今更に気づいた。

 

「…あと5分で勉強に戻るからな?」


「ええええええ?!早っ!もうちょっと…」


「ダメ」

 

さっきまで真っ赤に染まっていたくせに、
途端叫ぶお前がやっぱり可笑しくて
今度ばかりは俺も、肩を震わせて笑った。

きょとんとする陽介の跳ねた髪を
指先で楽しむ。


「本当に…すごいよ、陽介は」


いつの間にか、もう部屋は薄暗い。
さっきまで触れていた箇所が
思ったよりも未だ熱くて
若干浮き足立つ。


「外のことなんか気にならなくなるくらい
            夢中だったんだな…」

「悠??」


「なんでもない…」


宵闇に浮び上がるその姿から目が離せない。
そんな自分が面白くて仕方ない。


「本当に…もうダメだな……」


嬉しくて、楽しくて、心地よくて仕方ない。

実は、もうきっと夢中なんだろう…
こんなにも、お前のことしか考えられなくなるくらいに。

 

Fin

 


 








選曲はマジ適当(苦笑)
管楽器でもやるんだったらごめんなさいな感じ(苦笑)

あんな神聖な曲聞きながらかい!と
書きながら自分自身にツッコんでました(苦笑)
鳴上くんは普段ぼんやりしてるんだけど、
責めるとなったら強いんだと(笑)

で、止まんなくなるんかなー…とか(苦笑)

楽しんで頂けたら倖い。
PR

ペルソナ関連検索サイト様★


ペルソナ・サーチ!

MEGATEN WEB SEARCH

公式サイト


コミックマーケット公式サイト

赤ブーブー通信社公式ウェブサイト

『Persona4 the ANIMATION』


TVアニメ「ペルソナ4」

pixiv


pixiv

プロフィール

HN:
欟村縹(つきむらはなだ)
HP:
性別:
非公開
趣味:
萌え
自己紹介:
とりあえず、色々ダメな人。

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

バーコード

ブログ内検索

カウンター

ASP