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【猫の法則】

雪子ちゃん視点~
ジュネスのフードコートにて~



判らない

困る

な、感じで。
いってらっしゃいませ。

拍手[6回]
















「ねえ、鳴上くんて花村くんのどこが好きなのかな?」


「どこがって………」


「な?!あ、天城さん???」


「雪子?どうしたの?急に」


「え?ダメかな?なんか少し気になって…」


暖かい陽が差し込む
ジュネスのフードコート。

いつもの席に陣取って
来週に迫った小テストの勉強をしていた。

一年生は後から来る予定だ。

そんな中、麗らかな陽気に誘われたのか、
私の脳裏にふと過ぎった疑問は、
意外と簡単に口から出て行った。

 

「陽介の……うーん…難しいな…それは」


「え?そうなの?鳴上くん」


「ゆ、悠……あ、天城さん…その話題はちょっと…っ」


「もーいいじゃん、そんだけベタベタしてればバレバレー」


私からの質問に、一同がにわかに騒ぎ出す。
といっても、騒ぎ出したのは
顔を真っ赤に染めて焦った様子の花村くんと、
それをからかう様な口調の千枝の二人だけだったけど。

千枝からの言葉に花村くんが反論する形で
ぎゃあぎゃあと、途端に場が賑やかになる。

それを私と鳴上くん二人で
『始まった…』と苦笑しながら見ている構図。

いつも通りの光景。
まるで、もうずっと長い年月、
そうしてみんなで過ごして来たみたいに。

居心地の良さも手伝ってか、
私はいつもよりも軽やかに
次の言葉を涼しげな彼に投げた。

 

「でも意外だったかな…鳴上くんなら
  花村くんの全部って言うかと思ったんだけど」


「全部って言える程、長く一緒に居られてるわけじゃないしな」


「そっか…そうだよね」


小首を傾げ、軽く笑いながら言う。

意外と難儀な考えの持ち主なんだと思った。
簡単に恋愛を語れる思考だったなら、
もっと楽に生きられたのかもと。

それは大きなお世話だろうけど…。

 

「天城は里中のどこが好きなんだ?」


「え?千枝の?うーん……色々…かな…」


「そうか…だろうな」


私が、まるでさっきの鳴上くんの言葉をなぞる様に
『難しいね…』って言うと目を細めて笑った。

ああ…さっき彼が言った言葉がよく分かった。
全部なんて、違う気がする。

 

「多分、陽介にも俺に見せてくれてない面があるだろうし…
         でも実はそこが一番見てみたいというか…」

「あ、判るかも…」


思い当たる二人同士、
未だぎゃあぎゃあと騒ぎ続ける相手を見て笑った。

ふと、花村くんを見つめる鳴上くんの瞳が、
何か遠くを見つけたみたいに僅かに陰った。

 


「でも、来年の今頃はもっと遠いかもな…」


そう言って笑った目が、見たことの無い色を見せた。
私は聞いたこと自体を後悔した。

距離感に気が遠くなる。
独りの気配に凍える。
それはあの雨の日を思い出させた。

全部好きとか言ってしまったら
離れた時、その全部が重荷になる。
そんな気がしたから。


「あ、あのね…鳴上くん…」


何か言わなきゃと、何も考え付かないまま
私が肩を強張らせていると
隣で千枝と言い合いをしていたはずの花村くんが、
ごつんと音がするんじゃないかってくらい
鳴上くんの肩に自分の頭をもたれさせた。


「え?陽介…?」


「悠…腹減った…なんか食おーぜ」


「え?あ、ああ…」


それは誰よりも早くて、
まるで甘えるみたいな仕草なんだけど、
その仕草だけで鳴上くんの表情が
一瞬にして変わった。

それは、嬉しそうに笑う猫みたいな表情だった。

 

 


「んじゃ、行って来るー」


「里中、天城、少し待ってて」


「うん、よろしくねー」


「いってらっしゃい」


フードコートに併設された
屋台へと二人は向う。

その背中を見送りながら
ぼんやりと私は考える。

私達全員、同じくらいの時間
鳴上くんと一緒にいる気がしていたけど
もしかしたら大切なのは時間じゃなくて
どれだけ相手の方を向いているか、
なのかもしれないと思った。

単純な距離の差とか
時間の壁とか、考えの違いとか
そんなのじゃなくて。


「千枝…あれ…なんて言ったっけ…」


「え?何が?」


どこかで聞いたことのある法則。
確か…


「箱の中身は開けてみるまでどんな状態か判らない…」


「え??雪子?」


確かどこかで聞いた法則。
それはとてもおぼろげで、
よく覚えてはいないけれど。

彼という箱が内包している核心みたいな。

私達が見えたり思ったりしている部分は
彼にとっては外側だけの情報で、
予測や仮定の部分でしかないとか。

そして…この件についての余談を返してしまえば…

その箱を開けることが出来るのが、
花村くんだけかもしれないとか。

その中身を見ることが出来るのも、
花村くんだけだろうということとか。

その中身に触れることが出来るのも、
花村くんだけだろうということとか。

やっぱり彼は難しい…

 

「難しいね…」


「え、えっと…雪子?」


私が唸ると、心配そうに覗き込んで来る親友に
なんでもないと笑って返した。

私の箱を開けたのも、
彼や花村くんじゃなくて
千枝だったから…なんとなく
彼の気持ちが判る気がする。

 

 

 

 


「泣いて送り出してやろうか?」


「陽介が?」


冗談めかして言ってみた。
いつもは悠の方が上手で、
俺は翻弄されるままだから。

この言葉を聴いてお前が
どんな風になるのか見てみたい…
意地悪い正直な気持ち。

俺が担当に適当にオーダー入れて
支払いを済ませると、
俺の言葉に向けて、悠がぼそりと呟いた。

 


「それは困る…すごく困る」


「な、なんでだよ…いいじゃんか…」


眉間に皺を寄せ、何かを考え込む様な仕草に、
思わず全ての動作が止まってしまう。


泣かれるのが困るとか?
う、ウザいとか?????
そりゃ…男がそんな簡単にって
思うけどさー………
いや…俺が言うのもなんなんだけど…


ちょっとした冗談と勢いを
真面目に返されて、途端に形勢不利に
引っくり返った俺に悠は再度ぼそりと呟いた。

 


「さらいたくなる…から、困る。」


「は?!」


「俺の為にお前が泣いたりなんかしたら…お持ち帰りしたくなる」


「なっ…お、おま……」


「お持ち帰りしていい?」


「き、聞くな!つーか、だだだだ、ダメに決まってんだろーが!」


受け取ったトレイを握り締め、
俺は真っ赤になりながら抗議した。

ちょっとしたからかいが
とんでもない言葉で返ってきた。
やっぱりお前は読めないよ。

 


「そうか…それは残念」


そう言って笑った様子は、
寂しげな猫みたいで目が離せなくなる。


「ば、バカか………」


俺はお前から目が離せなくて、
お前も俺から目を離してくれなくて。

俺は今、俺が出来うる最大の言葉で
お前へと返答を投げてみた。

 

「い、いつか…なら………いいかも…な…」


「え?本当?じゃあ、今日で!」


「お前は!なんでいつも
俺の予想の斜め左上の返答が出てくんだよ!!
いつかっていってんだろーが!い・つ・かーーーー!!!」


途端に調子に乗るお前に、
俺はフードコートの端まで
響き渡るくらいデカイ声で抗議した。
そんな俺の頭を悠は予告もなく撫で始める。

 

「はー…癒される…」


「ちょ、やめっ…もふもふするなーーー!犬か!俺は!
      お前の呼吸が時たま掴めないですーーー!!」


「はは…」


「ははってゆーな!ったく…」

 

手を止めて苦笑い。
お互いに受け取ったトレイを
運びながら、元居た席へと視線を走らせると
何の前触れも無く悠が小さく零した。

 

「いつか…期待してる」


小さくにやりと微笑むお前。
その言葉にお前のホントが見えた気がして。
俺はだらしなく顔をニヤけさせて笑うと、
すかさず返答を返した。

 

「おう…待ってろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、帰ってきた!肉ー!買ってきた?」


「里中…お前ホント、ソレばっかだな…」


「なによーいいじゃん!あれ?
    どうしたの?鳴上くん?なんか楽しそう…」


帰ってきた二人を
千枝が肉前提で盛大に迎えると、
花村くんの隣で穏やかに笑う彼が居た。

 


「ああ…陽介をテイクアウトでって話ししてたんだ」


「おまっ…バカか!!ソレここでゆーな!!」


途端に真っ赤な茹タコの様になる花村くんに
鳴上くんは楽しそうに笑って返した。

 

「え?テイクアウト?花村を???」


「っ……て、テイクアウト…テイクアウト!…花村くんを…あははっ!」


「あ、天城さん…ソレの何処にツボったんですか???」

 

驚く千枝、それを聞いて噴出す私。
真っ赤な顔のまま困惑する花村くんに、
それを柔らかい笑顔で楽しそうに見ている鳴上くん。

いつも通りの光景。
まるで、もうずっと長い年月、
そうしてみんなで過ごして来たみたいに。

でもきっと、ちょっとづつ変わるんだ。
色々なものが。
沢山の予測や仮定や本当を含んで。
一歩づつ着実に。

 

「「「「いただきまーす」」」」

 

彼の中身はきっとソレを覗くことの出来る
花村くんにしか判らない。

多分、やっぱり彼の本当は判らない。

それでもそれが彼らの形なのだと、
私はその例えようもない関係性に
なぜだかとても温かみを覚えて。

麗らかな陽気にも誘われたのか
私は、とても自然に笑ってた。


Fin











知っている人は知ってる…
例の法則に引っ掛けたかったんですが;;;
何せ、私自身がお馬鹿なので;;全然引っかからず;;
あくまでこんなことあるよー的な軽ーーーーく;;;;;
雑学程度で読んでやって下さい;;;;;;;

マジすみません;;;;(土下座)
つーか、マジで合ってないと思うので;;;;;

しかもこんな長くて;;;;;;
申し訳ない;;;
次!頑張ります;;;

やっぱり夜中の脳みそはダメだな;;

楽しんで頂けたら倖い。
 

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とりあえず、色々ダメな人。

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