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【君を知りたい】


じゃれつきとゆーか
なんとゆーか(笑)

ドジっ子

困る

な感じで。
いってらっしゃいませ。

拍手[3回]










「陽介…聞いていいか?」

「う…な、なんだよ…」

二人だけの教室。
放課後なんだかんだと残っていたら、
とうとう二人だけになってしまっていた。

窓は閉められていて、二つあるドア両方とも
閉められていた。

そんな中、向き合う二人の視線が重なる。

 

 

「なんで…何もない所で転ぶんだ?」

「っうっせーな!わざとじゃねーーー!」
 

鳴上に圧し掛かった形で座り込む花村。


コトの始まりは、
さて、そろそろ帰ろうか?と
身支度を整え、二人一緒に教室を出ようとした所。

教室の後ろ…つまりは机も椅子も教材も、
何もない所で花村が転んだ。

それも、鳴上に飛びつく形で。

そして、鳴上も花村を咄嗟に抱きとめた…

なので…
 

 

「で、いつになったら俺の上から降りてくれるんだ?」

「う!…そうでした」

この状態は非常にまずい。
何せ、花村が鳴上の上にまたがり、
体をぐっと押さえつけたような状態になっているからだ。


「大丈夫か?なんか悪かったな」

「ああ…これくらいなら大丈夫。陽介は?」

「ああ…俺も」


お互いにやれやれと手を貸しながら
二人で起き上がった時だった。

 

 

「へ?!うわっ!!」

「っ?!陽介?!」

なぜか再び花村が、まったく同じ場所で足を滑らせて転倒し、
それを再びに鳴上が支えようと手を出した。


そして…


 

 


「何?襲われてるのか?俺は??」

「ち、ちげーーーよ!!んなワケねえだろ!」

再度、先程と同じ格好になる。
転んだ花村の下敷きになった格好の鳴上。


慌てた感満載の花村を見て鳴上は独り思う…
 

デジャヴだ…デジャヴ君…じゃなかった、
ええと、そうだ…ドジっ子って言うんだこれは。

 

腹部に花村を乗せたままの鳴上が
堪えきれずに笑い出した。


「わ、笑うなーーーー!」

「だって陽介…いくらなんでもっ…」

いくらなんでも二度も同じ場所で転ぶものなのだろうか?
そういえば初めて会った時も
ゴミ捨て場に突っ込んでいた記憶がある。

まったく仕方ない…。

 


「そんなに俺を押し倒したいのか…仕方ないな」

「違うって言ってるだろ!」

顔を真っ赤にして花村が答える。
その様子が可愛く仕方なくて、
鳴上はさらに少しだけ意地悪を働いた。

 

「いいよ、陽介なら…ほら、おいで」

「ば、バカか!おいでじゃねーーーーうわっ!」
 

ぐっと花村の二の腕を掴んで引き寄せた。
触れるくらい近くにお互いの顔があって
流石の鳴上も少しだけ煽られた。

 

「陽介…このまま…いい?」

「な、何がいい?だ!ば、バカかーーーー!」

「痛っ」

「もう知るか!」

鳴上の頭をひとつポカリと小突いて立ち上がる花村。
その背中を見つめながら鳴上は、
少しやりすぎたか?と苦笑しながら窓を見た。

気がつくと、夕焼けが教室全体に広がって、
全てがオレンジ色だった。

思わず鳴上は起き上がり
惚けてしまう。


ああ…この色好きだな。

陽介の色だ。

太陽の色。


自然と微笑んでしまう。
まるで包まれているような感覚を受けたから。
 


「悠?」

「陽介、夕焼けが綺麗だ」
 

少しだけ離れた所にいる花村へと呼びかける。

鳴上はそのまま、窓へと近寄り手すりへと手を掛けると
同じ夕焼けに照らされた窓の外を見た。

何もかもがオレンジ色で、
本当に綺麗だった。
 

 

「悠……?」

「え?ああ…ごめん…今行く」
 

そう言って花村へと足を向けようとした途端、
なぜか花村が鳴上の背中へと抱きついた。

 

「っ…よ…すけ…?」

「え?……………あ……」

自分でも気づいていなかったのか、
声を掛けられて初めて気がついたような様子の花村に
鳴上は言葉が繋がらなくなった。
 


「……陽介……」

「……わ、悪ぃ……その…っ」

「っ…待ってそのまま………」
 

慌てて離れようとした花村の手を
鳴上はそのまま自分の腰へと巻きつけた。
 

「このまま…もう少しだけ」

「…うぇ?!………あ…えっと…うん」
 

そう、もう少しだけ。

オレンジ色の光に包まれながらも、
更に本物の陽介に包まれているなんて理想的だ。

嬉しくておかしくなりそうだよ…陽介。
 

そう、鳴上は心の中で呟く。

 

 

「で、なんで?」

「え…ええと…そ、それは…」

抱きつかれた格好のまま、
花村をいじめてみる。

鳴上の方に先に余裕が戻ってきたのか、
にやりと悪い笑みを浮かべながら。

一方、花村は、咄嗟に自分がした行動と
気持ちの説明が上手く繋がらなくて困っていた。

それに…夕焼けに照らされた鳴上の背中が
少しだけいつもと違って見えて…。

 

そのせいで、なんか抱きつきたくなったとか。

理由もなく寂しくなったとか。

本音を言えば、不覚にもそう思ってしまったのだけれど…

どう考えても、そんなこと到底言えない。

 

 


「ん?何?」

「……っ…………」


楽しそうに聞いてくる鳴上の顔。
そして、本当に嬉しそうだ。
なんか負けた感満載だ。

 

そして…あの時、その背中が少しだけ遠く見えたとか。

思わず引き止めたくなったとか…

………やっぱり悔しいから絶対に言えない。

 

 

「陽介?」

「なんでもねーって…」

「そういう顔してないけどな?」

「…っ………」

ああ…なんで俺はわかりやすいんだろ。
もう少しだけコイツみたいに隠せたら…

そんなことを思ってたのもつかの間。

 


「まぁ、こういうのはいつでも大歓迎だけどな」

なんて余裕たっぷりで校庭を眺めながら言うから、
花村は途端に悔しくなって叫んだ。

「も、もう二度とするか!!」

そう花村が叫ぶと、鳴上は驚いた様な表情になった後、
途端少し寂しそうな顔をして、
こちらへと向き直ると言った。

 

 

「それは困るよ」

「へ?」

小首を傾げて、目を細めて…
そして少し名残惜しそうに。

 

「陽介…それは困る…すごく」

「…っ…バカか………」

目の前のその様子に
花村の頬はカッと瞬間的に熱せられて
同時に鳴上の腰に回した自らの腕にぐっと
力を込め、鳴上の腰を締め上げた。


「え?ちょ、痛っ…痛いって陽介…っ」

「バカ!お前、ちょっと我慢しろっ!」

無くて困るなら、ありすぎて困るくらい
お前に与え続けてやるから。
お前の傍でこうやってしていてやるから。
 


「陽介…もう少し優しく…」

「知るか!バカ!」


覚悟しとけよ?

なんて、鳴上には絶対に
気づかれないように心の中で呟いた。
 

 


教室の中、
オレンジ色の夕焼けが
今度は宵闇を連れてきていた。

二人とも先程の窓辺で未だ
じゃれてる真っ最中。


とりあえずは、暗くなるまで
二人で、こうしていようかな?なんて…


お互いに考えていたなんて
きっと誰も知らない。


Fin

 












何度も同じところで転ぶの巻(笑)
花村はドジっ子とのことで書いてましたv

楽しんで頂けたら倖い。
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とりあえず、色々ダメな人。

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