Polaris
【君の中の奇跡】
甘やかす
手を繋いで
心配したい
な、感じで。
いってらっしゃいませ。
以下、拍手お礼~(該当者様反転推奨)
arisaさんへ
こんばんはー(*´∀`*)ノいらっしゃいませv
番長ってホントのトコは悟らせなさそうだなーとか
思って書きました…が!伝達力とかあったじゃん!!
って半分書いた後で気がつきました…(笑)
陽介は心配そうな目でずっと気になりながら
言ってくれるの待ってるそんな犬的な…(笑)
ちゅー!いいですね!そろそろ!vvvvvvvv(殴)
実はこの続きを書こうとして止まってます(笑)
おお!GWvvv
じ、実は私も実は実は…vvvvv
うふふvvvちょっと計画中ですvvv
私もarisaさんと一緒にハマれて嬉しいです(≧▽≦)
また頑張って更新します!(*´∀`*)ノ
コメントありがとうございました!
朝、少しだけ熱っぽいだけだった。
それでも普通に起きて、普通に登校して
何事も無いように授業を受けて…
昼食を摂り…普通に出来ている筈だった。
お前が気づくまでは。
「っ…悠!!」
「っ?!」
誰かが背後で叫んだ声が聞こえた。
あの声は陽介だ。間違えるはずがない。
その声を認識出来るかどうか、
ほぼ同時だろう瞬間に、肩口から腹部にかけて
痛打を加えられて軽く後ろに飛ばされた。
ギリギリの所でなんとか踏ん張り体勢を立て直す。
いつもならこんなの食らわないのにな…
やっぱり本調子じゃないからか。
小さく舌打ちをし、
呼吸を整えながら、霞んだ視界を
見定めると、みんなが心配そうにこちらを見ていた。
「鳴上くん!!」
「悠センパイ!!」
「先輩大丈夫っすか?!」
「悪い…ちょっと考えごとしてて…」
ぼんやり返答する。
確かココはダンジョンの中。
そうか、それくらい俺は今
ぼんやりしてたのか…気をつけないと。
目の前では先程のシャドウを
陽介が一閃したのが見えた。
その姿を遠くに見ながら
自らの体調の変化を探る。
朝からの体調不良が悪化してきたのか、
体中が軋んで痛い。
様子を見ていたイザナギを
こちらに呼び戻して皆の下へと歩みを進める。
体調の悪さを仲間たちに気づかれたくなくて
ひっそりと重たい息を吐くと、いつの間にか目の前には
なんともいえない表情をした陽介が立っていた。
「陽介?」
「ディア…」
「あ、ああ…頼む」
些か様子のおかしさが気になったが、
俺はそのままその申し出を受け入れた。
目を閉じ回復を受けると、少しだけ体が楽になった。
とはいっても、回復したのは
先程のダメージだけで、根本の不良の
全快とまではいかなかったが。
半ば諦めた感で、閉じた目を開けると
手をかざしたままの陽介が
未だなんとも言えないような表情で前に立っていて、
俺の胸元にかざした手を振り上げると
そのまま俺の頭頂部を叩いた。
「痛っ…よ、陽介???」
「あっ!ちょっと!何してんのよ!花村!」
「悠、お前バカか!今日はもう帰るぞ!!」
何を言わんとしてるか分からなかった。
帰る?なんでだ?
そもそもなんで叩かれたんだ?
攻撃を食らって迷惑を掛けたから?
陽介が?それくらいで?
沢山の疑問符が浮び上がる中、
踵を返して帰ろうとする陽介を
里中が制止する。
「え?なによーさっき来たばっかじゃん!」
「うっせーーーーー!ほら!解散!!」
聞く耳なんか持たない感じ。
なんだ?どうしたんだ?陽介。
らしくないな…。
「陽介、悪かったって…次は気をつけるから」
「…っ…そうじゃねーーーー!!」
「どうしたの?花村くん?」
「いいから帰るんだ!ほら、悠…送ってくから…っ」
「え?いいのに…」
陽介のおかしさに気づいたのか
天城が心配して声を掛けるけど
陽介はそれを振り切るみたいに目を伏せた。
そのまま物凄い剣幕でみんなを強制解散させて、
俺の手を引き、陽介は歩き出した。
俺は陽介に強引に手を引っ張られて歩く。
さっきまでの非現実的な世界が
あっという間に日常の世界へと戻って、
分かってはいたけれど、少し面食らった。
その道のりの中、陽介は何も言わず
俺の手を引いたまま
多分、堂島家に向っているだろう歩みを
止めることは無かった。
「陽介、さっきの傷なら大したことないから」
「……………」
返答は無い。
無言で歩き続けるその背中に
俺はどうしたらいいのか判らなくて
繋がれた手と背中を交互に見つつ
息を殺して歩いた。
「陽介?……陽介……」
「っか………!」
「え?」
会話の糸口をどうにか手繰り寄せようと
俺が必死に名前を呼ぶと
陽介は突然立ち止まり、肩を怒らせて
何かに怒るように息を吐き出しながら言った。
「お前、バカか?!具合悪ぃんだろ!なんで言わないんだよ!」
「え………」
まずい、気づかれていたのか。
居心地の悪い空気が俺の逃げ場を奪いつつ
周囲を取り囲んだ。
「気づいてたのか…」
「お前、俺がそんなコトも
気づけないくらいバカだと思ったのかよ…」
「?!違う!そうじゃなくて……っ」
そうじゃない…そうじゃないんだ。
ただ、言うほどのことでもないと思ったんだ。
お前に心配かける程でもない。
こんなこと。
こんな無様な俺、
隠せるなら隠してしまいたかったから。
子供のころからいつもそう。
こんな体調不良くらい自分だけで
どうにかしてきた。
なのに…
「その…朝、少しだけ熱っぽいだけだったし、薬は飲んだから…」
「嘘つけ!どうせ悪化してんだろ!見てれば分かんだよ!」
振り返り、物凄い勢いでまくし立てる。
あまりのことに呆気に取られた俺を、
瞳の真ん中で見ながら続けた。
「授業だってなんかぼんやり聞いてるし、
昼メシん時だってあんまり食べてなかったし!
目だって充血してる!いつもと全然違うじゃねえか!」
「ええと…その…」
そんなにおかしかったんだろうか?
ダダ漏れじゃないか……
無様な自分を想像して軽く眩暈が襲ってきた。
これじゃあ、隠していた意味が無い。
お前に心配かけるなんて…最悪だ。
「ずっと気になってたけど、お前何も言ってくれねーし…
他のヤツらは気づいて無かったから、もしかしたら
俺の気のせいかもって思ってたら、さっきのあのザマ…」
「面倒掛けて悪い……………」
「ち、ちがっ…じゃなくて、お前から言って欲しかったっつーか…その…
あああーー!俺何言ってんだ!違うんだ、そーじゃなくて……」
居心地の悪いままの俺と、
上手く伝えることが出来ない陽介と。
二人向かい合ったままなんとも言えない
状態が続いた。
それでも最初は陽介から…まるで、噛み締める様に
言葉を選んでいる様子で呼吸を整えながら言ってくれた。
「頼むから、心配くらいさせてくれって…
お前がいくら独りで何でも出来るって言ったって……
心配くらいはさ…したいよ…」
弱っている俺よりも、
更に弱弱しいような様子で言った。
俺はその言葉に完全に我を忘れた。
お前にじっと魅入ってしまう程に。
「俺はお前の傍に居るんだから。」
そう言って、陽介は俯いた。
そんなにまで気に掛けてくれてたのかと、
陽介の言葉と気持ちに、俺も思わす一緒に俯いてしまう。
それと同時に嬉しい気持ちが降ってきて、
俺はその嬉しい気持ちと情けない気持ちと
更に後ろめたい気持ちが合わさって、
なんとも言えない状態になった。
言葉に出さなくても分かって貰えるなんて
初めてだったから。
生まれつきだったのか、物心ついた時には
今みたいに外に悟られ辛い状態になっていた。
でも、あえて悟らせようとか
伝えようとか思わなかったんだ。
そこまで深く長く付き合う間柄が
無かったせいもあるのだろうが
俺自身が、外の出来事に対して
興味が薄かっただけなのかもしれない。
なのに…今、分かって貰えたことが
こんなに嬉しいだなんて。
俯いたままのお前が
今、どんな顔して、どんなことを考えているかまで、
こんなにも気になるなんて。
「陽介…っ陽介…その……」
何度も呼びかけるが、嬉しくて声が上ずる。
なんだよ…これは…お前が与えてくれるのか?
こんな度し難い気持ちを。
言葉にしなくても分かって貰えるなんて。
そんなコトを喜ぶなんて酷く怠惰だ。
「すっげー心配してるんだ…あの時だって、今だって…」
「ごめん…本当に」
お前の心配そうなその声も、
今は、全部俺のものだなんて…そんな錯覚さえ覚える。
だめだ…本当に。
「陽介…あんまり俺、甘やかすな…」
「は?お前、何言って…」
これはダメだろう?
だって、お前を甘やかしたいのは俺なのに
これじゃ俺がお前に甘えてしまう。
こんなに嬉しいと、
ズルズルお前に甘えてしまいそうで怖い。
自然と手を口元に当てて俯く。
「悠…??どうした?」
「分かった、分かったから…」
これ以上俺を煽らないでくれ。
熱のせいだけじゃなく、
これじゃお前から与えられる熱で
俺はこのまま…………
「悠???」
ドサっ!!
「え?悠?!」
予想通り、俺はその場に倒れた。
倒れた衝撃と熱とで、更にあちこち痛い。
「だ、大丈夫か?!そんなに具合悪かったのかよ!」
「違う…っ………」
「え?」
陽介が俺の半身を抱えて抱き起こしてくれる。
その動きに合わせる様に、くらくらと回る視界と思考を
はっきりさせようと俺は呼吸を整えながら言った。
「なんか…もう…陽介の言葉が嬉し過ぎて…………」
「は?!ば、バカかーーーー!!!この変態!!」
酷い言い草だ。
俺が倒れた原因はお前にあるというのに。
でも怒られている筈の俺は
なぜだかとても心が安らかで、そして嬉しくて、
このままここで眠ってしまいたいくらいだった。
「お、おい!コラ!寝るな!!悠!」
「ごめん…もう無理…陽介、あと頼んだぞ…」
「無茶言うなーーー!!……っくそ!」
そう言いながらも俺を背負って歩き出した。
陽介…すごい…なんか、ふわふわするな。
仕方ないじゃないか、
お前がこんなに嬉しい気持ちにさせてくれるから
張り詰めていた糸が切れてしまったんだ。
お前のせいで、そして、お前のおかげだ。
「こんな姿、菜々子ちゃんが見たら泣くぞ?」
「ああ…それ困る。陽介なんとかして……」
「お前…自分で頑張れ!!」
ぎゃあぎゃあ言いながらも俺を背負って歩く。
その背中がとても温かくて俺は
自分でもびっくりするくらいに安らいでしまう。
「陽介……」
「ん?どした?」
明らかに息の切れた様子で返してくるお前に
俺はどうしても言いたいことがあったのだけれど
どれもこれも多分余計な言葉だと気づいて。
どうにかストレートに、
お前に大切なことを伝えられないか?と
適切な言葉を探すと、
それは一つしか思い浮かばなかった。
「……ごめん、好きだよ」
「…っバカか…………」
背負った様子はヨロヨロしてて
どうにも頼りなかったけど、
俺はその暖かい背中に安心しきってしまい
そのまま意識を手放した。
この後、気がつくと自室の布団の中で。
暫くして部屋へと入って来た陽介から、最大級のお叱りと一緒に、
びっくりするくらい優しく看病されるんだけど…
まぁ、それはまた別の話で。
Fin
MYお題は『伝達力の低い番長』(笑)
みんなの前では平気な顔してるくせに、みんなの居ないトコで
フラフラして陽介に心配かけそうです(笑)
楽しんで頂けたら倖い。