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【幸福論】

陽介視点主花 大学生同棲中設定ー 
センセイが部屋に忘れた携帯にかかってきた電話は? 
超テンパる陽介がいます(笑) ※ちょっと修正しましたー;;すみません;

苗字

嬉しい

おかえり

な、感じで。
いってらっしゃいませ。

拍手[3回]












けたたましく鳴る携帯電話。
見ると、それは先ほど出掛けた悠の携帯電話で。

持ち主に置き去りにされてしまった携帯は、
主不在のまま甲高い着信音を鳴らしていた。

長く鳴り続けるディスプレイを覗き込むと
そこには『公衆電話』の文字で。
少しの罪悪感を感じながらも
そのままにはしておけないような気がして
俺は着信ボタンを押した。



「はーい、もしもし鳴上でーす」

「あ、陽介?」

「ん? 悠か?」

考えてみれば当たり前といえば当たり前で、
持ち主…悠が手元に無い携帯電話の在り処を探して
手近な公衆電話からかけてきたのだった。


「良かった、やっぱりそこにあったのか」

「ああ、食卓の上に置きっぱなしだったぜ?」


で、結果俺が出たってワケ。

何でもない会話を交わして、
『めずらしいな、お前が』って俺が少しだけ意地悪く笑うと
悠は気恥ずかしそうに苦笑しつつも、なんだかとても
嬉しいことでもあったかの様に言った。


「ああ…でもなんかさっきのいいな」

「ん?なにが?」

俺が聞き返すとニヤリと笑う気配がした、
思いがけない言葉が飛び出す。


「陽介の口から『鳴上です』って」

「え? あ……っ……いや…その…」

「でも、俺は『花村』って苗字の方が好きなんだよな」

「え? そうなのか?」


なんだよ…初耳だ。
そんなこと考えてたなんて
初めて聞いたぞ?

俺が初情報にちょっとだけ狼狽えていると、
悠は楽しそうに笑いながら続けて来る。


「なんかさ、『花村悠』ってよくないか?」

「は?! ば! …ばば…バカ…お、おま…」


『なんか、女の子みたいだけどな』って
笑いながら言う声を聞きながらも
俺は『花村悠』って名前の意味と単語に
色々と真っ白になってしまって
のどの奥から素っ頓狂な声を上げる。


「ば、バカ! ぜんっぜん良くねーっつーの! ふふ、ふざけんな!」

「え? あー……ええと…ごめん、迷惑とか…だよな?」

「え? め、迷惑? え?」


俺の声を聴いた悠が、
ぐっと何かを我慢するみたいな声で
俺をなだめる言葉を吐いた。

俺はソレを聞いた後、やっと
自分が何を言ったのかを悟って
血の気が引くような後悔をするんだけど、
時すでに遅しで。

悠は苦しく漏れるみたいに息を吐くと
もう一度俺へと、生真面目に謝罪の言葉を返してくる。


「ごめん、嘘…冗談だよ…今の忘れていいから」

「ちち、ちげーって! そんなの…っ…そんなの…っ」

「でも、嫌なんだろ? いいよ、大丈夫だから、俺」

「ち、ちが…っ…そうじゃなくて…っ」


大丈夫じゃない…ぜんっぜん大丈夫じゃない声だ、ソレ。
俺にだってそれくらい分かる。

なのに俺の中は混乱してしまって、
上手い言葉が見つからない。

嫌とか迷惑とかじゃ絶対なくて。
なんか恥ずかしいとゆーか、
色々色々、俺の中で考えることがあって。


「いいよ、無理しなくて…陽介が嫌ならもう言わないから」

「い、嫌とかじゃ…ねーし…っ…だ、だってそーいうのって…っ」


バカな俺が言葉に詰まっていると、
悠はこれ以上俺を困らせまいとしたのか
『ごめん、もう切るから』って言って
電話を切ろうとする。

慌てた俺は『待てって!』とリビング中に
響き渡るくらいのデカい声でソレを制止して。

一つ深呼吸をしつつ、未だ大混乱の頭の中で
なんとか思い浮かんだ言葉を
悠に向かって高らかに宣言した。



「そ…そんなの…ななな、『鳴上陽介』の方がいいに決まってるっつーの!」

「は? ……よ、陽介??」


宣言した言葉が
今更のように俺に跳ね返って来て
俺は俺自身が言った言葉に驚かされ、
盛大に赤面した。

ち、ちょっと待てーーー! 俺・今・何て言った?!
あんまりでしょー! もうちょっと考えて発言しましょうよ!
しっかり、俺ーーー!





「あ…あう…」

「鳴上…陽介?」

「そ、そです…そ、そんな感じで…ひとつ…っ」

「鳴上陽介…そうか……」

「うぅぅ…っ」

な、何度も言うなーー! 悠のバカー!
やった…やっちまった…
ああぁぁ…。

ガクリとリビングの床へと
膝を折ってうずくまる俺。

でも嘘じゃない。
だから、余計に恥ずかしいとゆーか…。

狼狽する俺の呼吸を悟ったのか
悠はなにやら次を言いづらそうに
笑いさえも堪えている様子だった。

「陽介? その…」

「い、いや…ち、ちがくて…その…っ」

俺はどうにもいたたまれなくて
なんとか頭の中を整理しようとするんだけど
浮かんで来たのは上手くもなんともない
言い訳ばかりだったから
いかんともし難い様子で言いよどむ。

そんな俺が面白いのか
悠は楽しそうな声色に戻ると
俺へと次を要求してきた。

「あー…うん……で?」

「ば、バカ…だから…その…っ」

「鳴上…陽介……なるほど、いいな」

「ば、バカ! 声に出すなぁぁ! もういいっつーの…っ」

「陽介が言ったんじゃないか…」

流石の察しの良さで瞬時に切り返す相棒。
電話口でニヤニヤしてるお前が想像出来て
すげー悔しい。
悠…お前、絶対面白がってんだろ?


「こ、このドS! さ、さっさと帰ってこい!」

「はいはい」

「は、ハイは一回!」

「はい、陽介…すぐ帰るから待ってて」

「う……」


最後の『はい』に俺は
いつもの甘ったるさを感じで
俺は再度真っ赤になる。

そんな俺の様子を悟ったのか
悠が電話口で、はにかむみたいな
息遣いで笑ったのが聞こえた。


「で、陽介…帰ったらさっきの言葉の意味、ちゃんと教えて?」

「し、しつこい!!」


もう知らん! そう言って電話を切って。
俺は自分が言った言葉の意味を
ふわふわとした甘いなんとやらの様に感じて
顔がにやけてしまって、もうどうにもしまらない。

「ば、バカか……」

たった二文字の文字の違いで
俺は四苦八苦して。

『悠ならいいんだけど…』なんてバカみたいな
独り言を吐きつつ、むっくりと起き上がる。


すると、視線の端に家の電話が映った。

俺はのそのそと立ち上がると
呼ばれるみたいに家電の前へと歩み寄る。

その家電の近くに備え付けてある
メモの横のペンを取って、真っ白なメモ帳に
まるで誓いの儀式の様に『鳴上陽介』って書いてみた。





だ、ダメだ…恥ずかしい、予想以上に。
つーか、嬉し過ぎて恥ずかしい…いや…そうじゃなくて。
おいおい、落ち着け! 俺!

ああ…もう…
なんかもう色々おかしい…俺。

頭を抱えてその場へとうずくまると、
玄関先で鍵が開錠される音が聞こえた。


「う、うわっ…悠?」


咄嗟に立ち上がると
小走りに玄関へと迎えに出る。
『早かったな』なんて自然さを装って。


「ただいま、陽介」


予想通り、そこには笑って答える悠が玄関にいて
俺はやっぱり嬉しいやら恥ずかしいやら。

そんな感情に、なんか色々と困ってしまって、
でもやっぱり嬉しいから俺は笑う。


「おかえり、悠」








この後、俺が『鳴上陽介』って書いた
メモの隣のスペースに、まるで誓いの儀式の様に
自分の名前を書いた悠の文字を発見して。

俺はまた、嬉しいやら恥ずかしいやらで
盛大に赤面して、悠を問い詰めると、
そこにはやっぱりニヤリと幸せそうに笑う悠がいて。

俺はその表情に、俺自身も嬉しくなって思わず、
またとんでもなく恥ずかしい言葉を吐いてしまうんだけど。

その後どうなったかは…それは、まぁ……その…なんだ…
それは、まぁ……また別の話で…な。

Fin










とゆーわけで、ちょっとご無沙汰更新~
ただいま、風邪中ですので;;滞り気味で申し訳ない;;

なんか色々とモダモダする主花を書たかった!(笑)
きっとセンセイも電話口でモダモダしてます(笑)

楽しんで頂けたら幸い。
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とりあえず、色々ダメな人。

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