忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【君の壊れる音(11)】

【鳴上視点】
失くした記憶を取り戻した陽介。
一方、鳴上は……。

UPに時間かかってスミマセン;;;




拍手[1回]








「陽介……っ」
「『悠……俺は、お前が……』」

陽介が俺へと何かを言いかけた途端、
グラリと視界が揺れて眩暈が襲ってきた。

「よう…介……っ」

俺は同化した陽介の姿を確認すると、
安堵の為かその場に崩れ落ちた。

打ち付けた感触が数時間前と全く同じだったのを
まるで外から見ているかのように感じながらその場に寝転がる。

「『悠!? 大丈夫か!?』」
「よ…すけ……どう…した? なに…泣いてるんだ?」
「『ば、バカか……泣いてねーー!』」

打ち付けた部分と負傷した部分の痛みが同時に来て
体が焼け付く様に痛い。
俺は安堵と一緒に深く呼吸をすると、
駆け寄ってきてくれた陽介の頬に触れた。

「陽介、お前はやっぱりすごいよ……」
「『悠……っ』」

震えながら呼吸を繰り返すと、泣きそうな表情の陽介が
俺の体をいたわる様にさすってくれた。

「『悠……大丈夫か? 俺、お前に何かあったら……っ』」

未だ完全には同化していないからだろうか、
弱々しいその声はダブって聞こえた。

「大丈夫だよ、そんな簡単に死んだりしないから」

お前をこんな所に残して死ねない。
とにかく今はここを出でること、それにまだ一番最悪なのがいる。
だからその前にちゃんと……。

「『悠??』」
「まだいるな? 陽介のシャドウ……」
『う! るっせーな! わ、悪ぃのか!?』
「悪くない、一緒にちゃんと聞いてくれ」
「悠?」

姿はもう完全に陽介一人だけなのに
未だ声はダブって聞こえる。
でももうそろそろ“彼”も深く眠るだろう。
だからちゃんと“二人”に伝えないといけない。

理解出来ない表情で困惑する陽介へと
俺はうなされているみたいに手を伸ばした。

「陽介、ごめん」
「『悠?』」
「どっちがいいとか、そういうのは俺は出来ない」

俺は“二人”を見つめまま、どちらも大切だという
どうしようもない思いに揺られて笑う。
大事なことと、伝えたいこと、ちゃんと伝えよう。

「シャドウ…お前は陽介の一部で全部じゃないけれど、
       だけど、お前も陽介で大切で…だから……」
『悠? でも、オレは強い! 悠! だから…っ』
「ちゃんと最後まで聞け……弱いじゃないか…そんな顔して、いつもの泣きそうな陽介だ……」
『そんな…っ…違う…っ……オレは強いからお前を守れる……
 お前がオレに隠してることとか、そんないろんなことからお前を守れる…っ』
「陽介……」

なんだ、やっぱり気づいていたのか。
そして、必死で守ろうとしてくれていたのか、
俺が憂う事柄から。

でも違うよ、陽介。
俺が全部悪いんだ、俺が最初にお前を裏切った。

「大丈夫…俺が悪いんだ全部、俺が…だから守って貰おうなんて考えてない」
「悠…っ……そんな…っ…だって…じゃ、俺はどうすれば…」

今度は陽介本体が絶句するのが見えた。
守って貰おうなんて都合よく考えてなんかいない。

だた一緒にいたいだけ。

お前が許してくれる距離だけギリギリ近寄って、
出来るだけ長くお前の傍にいたい。

それしか望んでないし、
きっとそれしか許されないだろうと思っていたから。

「『でも、そしたら悠はオレを見てくれなくなる…そんなのっ』」
「見てるよ……ずっと陽介だけを」
「『悠……?』」

本当のことだ。
陽介を見てる、ずっと。

夕焼けがよく似合うやつだと思った。

それはまるで映画みたいな光景で
思わず立ち止まり惚けたまま
お前を見つめた。

朱に染まる周りが、夜を予感させるのに
お前だけは切り取られたみたいに
そのままで。

どこにも属さないのに
どこでも当たり前みたいに笑っていられる。

その姿に酷く憧れた。

「どんな陽介も見てるから…いつどこに居たって陽介だけを」
「『悠……お前…何を…っ』」
「ごめん、元はといえば俺が悪かったんだ……不安にさせた」
「『悠…俺…俺は……っ』」

ハモる声に苦笑すると、惚けた陽介を
俺の胸元へと優しく抱き寄せた。
肩を怒らせて何かを言おうとしている
陽介に笑いかける言う。

「ごめん…陽介…俺、ちゃんと言うから全部」
「『悠?』」

気持ちに追いついていかない自らの表情に
もどかしく思いながら俺は笑う。

無理に笑うのが、こんなに辛いだなんて思わなかった。
痛くて怖くて仕方ない。
祈るような気持ちで続ける言葉が、僅かに震えていた。


「ごめん…陽介……お前の思うような相棒じゃなくてごめん」


「お前が望んでいた様な親友じゃなくてごめん」


「本当にごめん…陽介」


何度謝ってもきっと足りない。
お前の理想を裏切ったことは、なんど謝っても償えないだろう。

相棒って呼んでくれて、親友って思ってくれて、
それだけで良かったはずなのに。
しかも俺を守ろうとまでしてくれていたなんて…。

なのに…俺の気持ちは違う方へ向いていた。
酷い話だ…。

お前の理想で在りたかったし、
お前の自慢で在りたかったけれど、
俺には無理みたいだ。

「『悠?……っ…何を…』」

抱き締められて目を白黒させている陽介。

心配そうな瞳が痛い。
お前の優しい思いに申し訳ない。
お前に守って貰える権利なんて、俺には無いのに。

「陽介……っ…本当に…ごめん…」
「悠?」

俺は全ての終わりを告げるように
酷く穏やかな気持ちでお前に笑いかけた。

「陽介……俺、お前が好きなんだ」
「え…………」

陽介の動きが弾かれた様に震えた後止まる。
その瞬間俺の何かが頬を伝う様な感触がして
全ての終わりが近づいている、そんな予感がした。

「陽介が好きだ…これは相棒とか親友とかじゃない好き。」
「『そ、それは……っ』」
「うん、そう……」

俺の中で全部が壊れる音がした。
親友とか相棒とか、いままで大切に守って来たものが全部
めちゃくちゃに壊れて砕け落ちる。
そんな音がした。

「陽介、好きになってごめん。でも俺はやっぱり、お前が好きなんだ」
「『悠……っ…』」
「俺は陽介が欲しい」

自分で発した言葉に、心の奥が震える。

俺からの言葉を聞いた陽介の目は
まるでガラス球みたいに底の無い色をして
目の前に写る俺だけを見ていた

to the next…











やっとここまで来た…;;
短くてすみません;;まだちょっと続きます。

楽しんで頂けたら幸い。
次回もお付き合い頂けたら倖い。



PR

ペルソナ関連検索サイト様★


ペルソナ・サーチ!

MEGATEN WEB SEARCH

公式サイト


コミックマーケット公式サイト

赤ブーブー通信社公式ウェブサイト

『Persona4 the ANIMATION』


TVアニメ「ペルソナ4」

pixiv


pixiv

プロフィール

HN:
欟村縹(つきむらはなだ)
HP:
性別:
非公開
趣味:
萌え
自己紹介:
とりあえず、色々ダメな人。

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

バーコード

ブログ内検索

カウンター

ASP