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【君と僕とをつなぐ手は】

ホワイトデー主花~間に合った?;;間に合った?;;
超慌てて書いてるから文章がとっ散らかった感じに;;
スミマセン;;陽介がチョコ上げた設定になっとります~;
先月UPのバレンタイン創作の続きー?かなー;;;???(殴)

粒子

氷水

甘える

な、感じで。
いってらっしゃいませ。

拍手[2回]






「ちょ…陽介、氷を直で触ったら…」

「へーき、へーき! 俺って手、あったけーから」


そういって手の中で溶けた氷水で
指先を冷やされた。






3月14日、ホワイトデーの堂島家の台所。
ホワイトデーの儀式とやらがひと段落して
陽介と一緒に堂島家へと帰って来ていた。

おじさんは残業で、菜々子は友達の家で。

居間に座ってテレビを見ている
陽介と話しながら、夕食の支度の為に
一人台所に立った時だった。


「っ……」

「悠? どした?」


らしくなくぼんやりと
考え事をしながら夕食の準備をしていたら
不注意にも指先にやけどをしてしまった。

慌てた陽介が駆け寄って声を掛けてくれるんだけど
結構それは赤く腫れていて、見せたら余計に
心配をかけてしまいそうだから咄嗟に隠す。

それを見咎めた陽介が怒ったような表情をして
こちらを見て覗き込むから、俺が益々頑なに隠すと
陽介は逆に詰め寄ってきた。


「悠、見せてみろって…」

「いや…平気だから」

「平気じゃねーんだろ? 隠すってことはさ」


『ほら見せてみろ』って半ば強引に引っ張った
指先を見た陽介は、その指先の状態に呻いた。


「バカ…っ…結構腫れてんじゃねーか、早く冷さねーと」

「こんなの平気だ、ほっとけば治るんだし」

「んなわけねーだろ! こんな腫れてんのに」

「別にいいから気にするな、陽介は座ってていいから…」


俺がなんだかバツが悪くて、陽介に握られたままだった
手を引き戻して遠慮がちにそう言うと、
それを見た陽介は今度は本当に怒ったような
様子でこちらを睨んできた。


「悠…俺、怒るぞ?」

「…っ…いいって言ってるじゃないか」

「…お、おま……こういう時くらい俺の言うこと聞けっつーの!」

「っ…いつも聞いてるだろ、陽介のいうことは特に」

「聞いてねーっつーの! 現にいま聞いてねーじゃんか!」


なんだ? なんなんだ?
今日は確かホワイトデーだったはずなのに。
これから一緒に夕食でもって言ってたはずなのに。
俺達はなにをどう掛け間違えて
台所で口論してるんだ?


「ちょっ…陽介、離せって」

「嫌だ、ふざけんな…ちゃんとこっち見ろ!」

「だから…っ…しつこいぞ、陽介」

「るっせるっせるっせーー! 俺がせっかく心配して…っ」


心配させたくない俺と、
心配したい陽介と。

訳の分からない理由で揉み合う俺達。

俺は引っ込みのつかない感情と
いまの如何ともし難い状態に頭を抱えると、
それがそのまま気持ちに乗ってしまったのか
溜息を吐きながら再度拒否してしまう。


「陽介、本当にいいって…大丈夫だから…っ」

「あーー! もう!!」


陽介はそう叫んで跳ねた髪の毛を
ぐしゃぐしゃと掻き毟ると
隣にあった冷凍庫の氷冷室の扉を開け
手を直に突っ込むと、中の氷を鷲掴みして持ってきた。


「ちょ…陽介、氷を直で触ったら…っ」

「へーき、へーき! 俺って手、あったけーから」


そういって手の中で溶けた氷水で
俺は陽介に指先を冷やされる。


「っ……」

「痛いか? 悠」

「痛くはない…けど…」

「けど?」

「なんでもない…」


お前にいたわりながら冷やされるから
そこから感じる僅かな熱が
なんだかこそばゆい。

さっきまで怒っていたお前はどこに行ったんだよ。
いまこんなに優しく冷やしてくれる仕草に、
俺は動けなくなって指先をじっと見つめるだけになる。


「冷えたか? 悠」

「あ…うん、多分……」


多分、もう大丈夫。
そう言いかけて止めた。

きっとこういうときに、肝心の言霊級を発揮して
『ごめん』とか『悪かった』とか
色々言わなければいけないんだろうけど。

お前がそうやって俺を気にしてくれて
何かをしてくれるだけで嬉しくて
いま実は結構、余裕がない俺になっている。


「悠? どした? やっぱ痛いか?」

「いや…痛くはないんだけど…」

「ん? なんだよ?」

「いや……なんでもない」


もう少しだけそうやって、ゆるゆると
冷やしながら温めて欲しい。

次を言ったらお前がその手を止めてしまいそうだから。
だから俺はそうやって、お前が心配しなきゃいけないような
状態のようなふりをして、つけこむみたいに甘える。

俺が『多分』で止めたから
陽介はまだまだ冷やしながら温めてくれて。

俺はそれが卑怯なことだと感じつつ
どうしても止めて欲しくないから
また黙ってされるがままになる。


「どうだ、冷えたか? 悠」

「うん…」


多分…。
そうきっと大丈夫、なんだけど
もういいよ…なんて言わないし、言えない。
できたらまだまだずっと、そうやっていて欲しい。

できたら、ずっと。

そう感じて息をひそめる様に呼吸を止めると
陽介が噴き出すみたいに苦笑いした。


「っ…お前は…ホント」

「え? 陽介?」


え? まさかバレたのか?
隠し事だけは得意だったから
バレたと思うと俺の脳内は混乱するんだけど
目の前の陽介は苦笑いしつつまだまだ
冷やして温めてくれて。


「いや…たまにはさ、こういうのもいいよなって」

「あ……うん、そうかもしれないな」


二人しかいない台所で
お互いの指を絡ませ合い
向かい合ったまま。

話すこともなくて、そのまま無言なんだけど
居心地が悪いとかそんなことはなくて。

どうやら陽介も機嫌よさそうに
そのまま続けてくれるから
俺は心地良さに目を伏せる。


「陽介…」

「ん? なんだ? どした?」

「手を繋ぐとさ、手の粒子とかも一緒に繋がれるんだって」

「は? お、おう?」

「だから…今のこの氷水って実は結構すごい水? みたいな…」


確かどこかで聞いた話。
俺と陽介の粒子が混ざり合って
水みたいなのに、正確にはもう水じゃなくて。
だから、なんだかとても尊いモノみたいで
このまま捨てるのが惜しくなってくる。

お前が俺を気遣って、気にしてくれて
時間をかけてこうやっていたわってくれてる
この時間に俺達が混ざり合う氷水。

不思議な感覚に俺はまた目を伏せる。
そんな俺の言葉と様子に、
陽介は今度は盛大に笑い声を上げた。


「お前は時たま、俺の考えとかなんかすっげー小さいこととか
     色々と全部飛び越してくれるから面白れーよ、うん」

「なんなんだ…それ…」


なんなんだ…俺は結構真剣に言ったんだけどな。
たまにこうやっていつの間にか、
お前の方が俺を飛び越して知らない景色を見ているから
俺は必死でそれを追いかける。

実は結構必死で追いかけてる。
お前はそれを知らないから、俺がどんな気持ちでいるか
全然察してくれないから、俺はたまに
意地悪をしたくなるんだよ。

馬鹿だなと自分自身に呆れながら、
それでもお前がこっちをむいてくれるように
俺はお前の方ばかりを見て
お前の言うことばかり気にしてる。
そして、ふいにこうやって甘えたくなる。
お前がこっちを向いてくれるように願って。



「俺の相棒様は、時たまよく分らないことを言う」

「わ、悪かったな…」


そんなことを考えながら冷やされていたら
陽介がぽつりと落とすように呟いた。

俺がムっとした顔つきで僅かに睨むと
それさえも面白いのか、陽介はニヤニヤしながら続けて言った。


「んで…俺の相棒様はこうやって時たま、
 ビックリするくらい俺に甘えてみせてくれたりする」

「…な…っ…」


やっぱりバレてたのか。
陽介の言葉だけで、
俺の頬が蒸気を噴き上げるような
熱い感覚で覆われる。

恥ずかしくて上手く上を向けない俺が
俺が絶句していると、陽介はらしくなく
ニヤリと俺の真似をして笑って
視線だけをこちらに向けて言った。


「俺が分からないとでも思ったのか?」

「……思ってました、侮ってました、すみません」

「なんでそこで逆切れすんだよ…お前は…ったく」


陽介がそう言いながら、らしくなく余裕な面持ちで
ニヤニヤするから、なんだかいつもと
距離とか立ち位置が違うみたいで
少しだけ悔しくなって俺は小さく唸った。


「でも、いつもは俺が甘える側だから…なんか嬉しいよな」

「そう…か?」


驚いた俺が視線を上げてそう答える様子を見て、
陽介は苦笑する。

そうしてそのまま溢れるくらいに溶けだした
その尊い氷水を手のひらいっぱいに貯めて、
俺の指先をいたわりながら冷やし続けてくれた。


「お前が俺に甘えてくれて
 俺、実は今すげー嬉しいんだけど、悠は?」

「俺は……ちょっと悔しいです…」

「そうですか」

「そうです…」


陽介はまたニヤニヤ笑って
俺は面白くないから仏頂面になる。

手は依然としてお前の柔らかい手のひらの中で
冷やしながら温められて。

そうやって暖かかったり、また違った様子だったり
お前はいつもくるくる変わるから。
俺はそれを追うのに必死になる。

冷やされたり、温められたりして
それが実は俺の中身も外見も
全部に影響を与えているんだと思うと
やっぱり少し悔しくて、そして嬉しい。



「氷水…」

「は? 悠?」


くるくる変わって、お前こそ
俺の知らない何かを見てるんじゃないか?と
そんなことを考えたりする。

だから、お前といると
俺が見えていないものが見えるんじゃないかって
思うときがあって。

そんな時、時たま、稀に、凄く珍しく、
何の前触れもなく…お前に甘えたくなる。


「氷水飲んでいい?」

「は? コレ?? や、やめとけって、腹壊すぞ!」


だから、お前が生み出したこの
粒子ごとの氷水は、きっとすごい何か
とてつもないモノのような気がして。


「嫌だ…陽介と俺の氷水が飲みたい」

「……なんか言い方がエロいから、なおさら却下」

「お褒め頂き光栄ですので、却下無視します」

「褒めてねーっつの! つーか、なんで無視?!」


騒ぐ陽介を尻目に、俺は繋がれた手を
少しだけ高めに掲げると、伝う様に降りてくる
氷水を飲んだ。


「ご馳走様でした」

「お、おま…」


俺が飲み込んだのを見た途端、陽介がまるでゆでダコの様に
真っ赤になるから今度はなんだか嬉しくて、
俺の方がニヤニヤする。


「ん? なんだ? 陽介」

「……な、なんかエロいっつーか…」

「陽介がエロいからじゃないか?」

「んでだよ! つーか、やったのお前だろ!」


甘えて寄り添って、一緒の景色を観たくなる。
そんなことを考えながら、お前と同じ方向をみて
俺も一緒に同じ目線で笑う。


「そういえば、陽介……さっきの小さいこととかってなんだ?」

「悠、お前…確信犯だろ? それ…」


今度は俺がニヤニヤする番。
俺が笑うと今度は陽介がバツが悪そうに
顔を背けると、小さく頬を膨らませた。

俺はその様子に向けて声を投げた。


「…陽介、ありがとう…ごめん」

「え? あ…ええと…い、いーや…俺もさ…え? ちょ…」


俺はそう言って笑って。
ふたりぼっちの台所でお前の隣に立って。
まだ少しだけ赤い頬のお前に近づいて、
視線を合わせてキスをした。


「お、おま…っ」

「水…味したか? 俺の粒子の味…」

「ははは、は?! はぁ?! すすす、するわけねーだろ!」

「そうか、残念…」


俺の中の粒子とか色々な厄介なもの全部で
お前を呼び続ける。

必死にお前ばかりを見て、
お前の言葉ばかりが気になって。

俺の全部がお前の全部に
呼ばれるみたいに引き寄せられて
寄り添うみたいに心地よい場所になる。


「…き……ききき、キスの味しかしない!」

「…は?……陽介?」

「ゆ、悠とした……きき、キス…の味がしました…っ」

「……っ…陽介…お前は本当に…っ」

「わ、笑うなぁぁーー!」


今度は俺が噴き出す番。
幸せに笑う番。





「陽介…陽介、ごめんって…」

「……」


不貞腐れてしまった背中に
俺は何度も何度も呼びかける。

機嫌治せよって、何か欲しいものないのか?とか
お詫びに何かするから…とか、優しく呼び掛けて。


「ほ、ホントか?」

「え? 陽介……??」


俺の声に途端に陽介がまるで沸き立つみたいに
反応すると、真っ赤な顔して言ってきた。


「き、今日は…ホワイトデーだから…」

「うん?」

「お、お前の作った『肉じゃが』が食べたいです…っ」

「陽介……残念ながら『肉じゃが』は、
      ホワイトデーに全くかかってないから」

「なっ?! るっせるっせるっせー! いいだろー!」



そんなお前を見て、また俺は笑う。
お前と出会ってから
俺は声を上げて笑うようになったんだ。

きっとお前は、気づいてくれてはいないだろうけれど。
お前の優しさや暖かさで、俺の中身が色々満たされる。

俺はお前で満たされる、そんな気がする。


「了解、相棒」


だから俺は幾度も呼び続ける
お前がこっちを振り向いて、
笑って応えてくれるたび。



Fin











ギリギリ間に合った感;;;
うおおお;久しぶりにこんな焦ったーわー;;
なんかいつもとちょっと立場が違うのですが
そこも楽しんで頂けたら嬉しいなーとか;;
コレ、逆でもいいんじゃね?って言われそうで怖い(苦笑)

楽しんで頂けたら幸い。
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とりあえず、色々ダメな人。

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