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【君が好き】

お手紙な主花で、陽介視点です。
放課後の教室での一幕。
(後半、ちょっとだけ未来話が入りますのでお嫌な方は回れ右;;;)


ノートへの走り書き

お前が大切なんだと

劣化してない

な、感じで。
いってらっしゃいませ。



以下拍手お礼です。(該当者様反転推奨)

arisaさんへ

こんばんはー!
返信遅れて申し訳ないです;;
楽しんで頂けましたか!良かったv
ユンケル!おおおおお!
お役にたてて良かったvvv
arisaさんの新刊が今からすごく楽しみです(*´∀`*)ノ

コメントありがとうございましたv
ではでは!

拍手[3回]










ひっきりなしに人が来る。
まただ。
俺がいるってのに…って
関係ねーか…やっぱ。

 

放課後の教室で、
なんてこともない雑談をしながら
悠と二人で居残ってた。

もう教室には俺達二人きりで。

遠くから聞こえてくる運動部の声とか
廊下の奥から聞こえる話し声は
妙に教室を居心地良くさせて。

俺は笑う悠を見て、また笑って話す。

そんなことを繰り返していたら
教室にはいつの間にか夕焼けが
差し込んできていて教室の外からの声は
次第に無くなっていった。


そうこうしていると、
悠が部活の後輩やら、
先生やクラスメイトやら
色々な人たちから呼ばれ始めた。

明日の部活内容やら
日直の連絡やら
保健委員の伝達事項やら…

内容としては他愛もないとゆーか、
明日でもいいんじゃね?って
感じのものなんだけど
当人たちは俺を置き去りにして
楽しそうに話している。

そして、それにムっとするなって方が
俺にとっては無理なことで。

話の途中で何度も離席する相棒の背中を
恨めしそうに眺める
女々しいヤツに成り下がる。


せっかくの時間。

邪魔しないでほしい…なんて、
バカな考えだと思うけど
やっぱさ、独り占めしたいって
純粋にそう思うときがあるんだよ。

悠の傍にはいつも誰かがいるから。

それが俺だけであって欲しいなんて、
酷い独占欲だと分かっているから
俺はいつも言えずにいる。

いつも言えずにジリジリするから、
お前に心配させて、依存して…
だから俺はきっとダメなんだと思う。


でもさ…こんなに見つめているんだから
一瞬くらいはさ…相棒…こっち見てくれよ。


相棒の広い背中を
穴があくんじゃないかってくらい見つめると、
なぜだか溜息と一緒に泣き言が
出そうになって慌てて止めた。

 


『モテる恋人を持つと大変です。』


どこかでそう聞いたよーな気がする。
初めて聞いた時には
『あーはいはい、リア充め』
と些か冷めた目で見ていたものだが、
いざ当事者になると、やはりどうして面白くない。

 

『モテる恋人を持つと大変です。』


なんとなく、開いていたノートへと
走り書きをする。

 

『かれこれ10分は
 戻って来てくれません。

 誰からも声を掛けられます。
 俺と一緒でも、皆おかまいなしに話し掛けて来ます。

 俺はそれが面白くありません。

 誰にでも優しいから、
 誰から声を掛けられても
 優しいアイツが俺以外に笑いかけます。

 俺はそれが面白くありません。
 もっと君を独占したい。

 でも、たまに俺にしか
 見せてくれない顔をしてくれたりします。

 俺はバカだから、それがすげー嬉しくて仕方ないです。
 それだけで、いつもの色々なアレが帳消しになるくらい嬉しい。

 だから、もっと君を独占したい。

 もっと君と話をしたい。
 もっと君の傍にいたい。
 もっと君の本当が見たい。
 もっと君の本音を聞きたい。
 もっと君に触れていたい。

 君が好きです。』

 

 

 

バカか…俺は。

書き終わると苦笑いしながら、
指先でペンをクルクルと回す。

頬が火照って熱くて仕方ない。
それを誤魔化すみたいに
何度も何度もペンを回す。

そうしていると、
少しの浮遊感が指先に伝わるのと同時に
ペンが床へと落ちた。

弾くような、高めの音は
一応は教室内に響くんだけど
後輩だかなんだかと話している悠を
振り向かせるほどの力はないみたいだった。

こっち向けって…
じゃないとイライラして
おかしくなりそうだ。

落としたペンはそのままに
俺は机へと突っ伏した。

 

……それこそバカか、俺は。

そんな出来事にいちいち
イライラしててどうすんだよ。
これからいくらだってあるだろ。

そんな言葉をグルグルと脳内にめぐらせながらも、
未だ解消しない思考に、俺はうんざりして
助けを求めるみたいにまたその広い背中を見た。


でもやっぱり、振り向いてはくれなくて。

泣きたくなってしまった俺が、それを振り払うみたいに
溜息と一緒にペンを拾うと、会話が終了したのか、
悠がこちらへと戻ってきた。

俺は慌てて、あのページへとペンを挟むと、
悠に気づかれない様にノートを閉じた。

 

「お、おかえり…悠」

「え? あ、ああ…ただいま、陽介」


俺がおかえりと笑いかけると
悠もつられたのか、柔らかく笑った。


おかえり、俺の相棒。
俺だけの…って、バカか…俺は。

自嘲気味に痛々しく笑うと、
何かを感じ取ったのか
悠が俺の顔を覗き込む。

うん…そうやって、もっと心配して。

そんでもって、もっとさ…こう…
誰にも見せたことない感じの
俺だけに見せてくれる顔をして。


「陽介、どうしたんだ?」

「ん? なんでもねーよ?」


なんでもなくない。
もっともっと見て欲しい。
それこそ穴が開くんじゃないかってくらい。

俺だけ見て欲しい。
ダメだな…俺ってやっぱ我儘なんすかね?

 

「陽介? なんだよ…物欲しそうな顔して」

「は?! な?! お、おま…言い方がエロい!」

「じゃあ、キスでもするか?」

「し、しません! つーか、どこに繋がる『じゃあ』なんだ!」


ココは、学校だっつーの!
と叫んで俺が騒ぎ出すと
いつもの展開が繰り広げられる。

ニヤリと笑う余裕のお前が
俺をからかいたくて仕方ない顔して
こっちを見てる。

チクショー…
なんか負けた気がする。

俺が机へと突っ伏して
ジタバタすると、悠はそれを
楽しそうに見ていた。

そのニヤニヤした顔になんか
決定打を…と口を開きかけた途端
前方の扉から俺を呼ぶクラスメイトの
声が聞こえた。

 

「え? 職員室? 呼び出し?」

「ああ…この間のテストじゃないのか? 結構ヤバかったし…」

「うぉ! ややや、やべーー! 悠、ちょっと行ってくる」

「ああ、いってらっしゃい」


そういって見送られた声に
なんだか暖かいものを感じつつ教室を後にした。

今度は俺がニヤニヤする番。

ホント、俺ってヤツは
どうしようもなく現金に出来てる。

 

 

 


しばらくして悠の待つ教室へと戻ると、
いつもの背中が机へと突っ伏しているのが見えた。

まるでさっきの俺みたいに。


「悠…どした?」


寝てるのか?
俺が名前を呼びながら不審そうに近寄ると、
ビクリと体を震わせると、むっくりと
体を上げつつ、顔は上げずにぼそりと返答を
返してきた。

 

「おかえり、陽介……」

「え? あ、うん…ただいまって…な、なに? どうしたんだよ?
  お前、顔真っ赤じゃねーか? うお! 耳まで真っ赤じゃん!」


どっか具合悪ぃのか? 悠?
そう聞くと何とも言えないような
表情で視線だけで俺を見ると
気まずい様な様子でまた机へと突っ伏してしまう。


「な、なに? 悠?」

「無理だ…無理…今、顔は上げられない……」

「は?? な、なんでだよ??」

「嬉しくて…」

「は? え? 悠??」

「嬉しくて…倒れそう……」


そういって指差したその先には
俺がさっき書いた、ポエムみたいな
走り書きのページが開いてあった。


「ちょ! おお、おまっ…ココ、コレ読んだのか?!」

「ごめん…つい」

「う、うそ……」


ま、マジでか……?! 
こんな恥ずかしい下心?ってヤツだけは
見られたくなかったんだけど…

まさかシャドウに続き、こんなモノまで…

ガクリと膝が折れるように
先程まで座っていた椅子へと座ると、
俺は喉の奥から唸り声を上げた。


「う、ううう…」

「陽介…」

「は、はいぃぃ! な、なんでしょうか?!」


二人とも真っ赤な顔して
向かい合って座る奇妙な状態に
変な空気を感じながらも悠を見ると
若干、目が潤んでいるように見えた。


「陽介……その…これ…
   俺のことだって思って…いいんだよな?」

「え? そそそ、そりゃ…そんなのお前しか…
   いないし…そ、その…だ、だから…その…」

「……うん…だから?」

「その…だ、だから…その……う、うわああぁぁ!!」


俺は恥ずかしさの余り、あのページだけを
切り取ってグシャグシャに丸めた。

あっと悠が声を上げるけど、
それにもおかまいなしに俺はメチャクチャにする。
俺が必死になってソレを丸めていると
悠がそれを遮るために手を出して来た。


「ダメだ、陽介ストップ! 俺コレ欲しい」

「は?! ええ?! ば、バカか!
   なに言ってんだ! だ、ダメだっつーの!」

「なんでもするから」

「うぇ?! ば、バカ! なんでもするとかカンタンに言うな!」

「本当なんだ、なんでもする…大切にするから…
          だからコレ、俺にくれないか?」


お願いだから、約束するからと、懇願する。
見たこともないその姿と瞳に
俺は何も言えなくなる。

俺だけに見せてくれてるだろう
その様子に嬉しいはずなのに
いまは恥ずかしくてどうしようもない。

真っ赤に染まっているであろう
俺の頬は熱が放熱出来ずに
茹だったまま。

それでも意志の強そうな目で
こちらを見続ける悠に根負けして、
俺は唸りながらも、その紙切れを手渡した。

もう見られてしまったなら仕方ない。

とゆーか、ここはこうしないと
コイツはきっとテコでも動かないだろうから。

 

 


「ありがとう、大切にするから」


手渡されたぐしゃぐしゃになった紙切れを
嬉しそうに受け取るその様子に
俺は気恥ずかしさのあまり目をそらした。

 

「な、なんでもするっつったよな?」

「え? あ、ああ…なにがいいんだ?」


なんでもする…なんて魅惑的な言葉。

途端、俺の中では色々駆け巡るんだけど
本能的に声が意味を持って
出した答えは予想とは全然違った。


「じゃあ……お、お前もソレ書け!」

「え? コレか?」

「そ、そう…ソレ…です……」


悠が大切そうに持つ、紙切れを指差して。

どうだ? 書けないだろ?
そんな少しだけ意地の悪い感情が
俺の中に浮かぶ。

出来ないなら返せよ? と
目を逸らしながら呟いた。

でも俺からの言葉に悠はなんだと
意外そうな顔をすると、
なんでもない事の様に
俺のノートへとペンを取って
スラスラと書き始めた。

 

「え? ちょ…ゆ、悠?」

「少し待ってろ、すぐに書き終わるから」


夢中で書いている悠の手元を覗き込むと
それはそれは『オレサマ、オマエ、マルカジリ』的な、
すげー恥ずかしい内容で、俺は自分が書いているわけでも
ないのに真っ赤になった。


「なな、なんだ?! それ?!」

「え? 陽介へのラブレターだけど?」

「ば、バカか…つーか、内容が恥ずかしすぎんだろ!」

「…陽介が書けって言ったんじゃないか」

「そ、それはそうだけど…」


全部本音だよ…と、
笑いながら付け加えて。

そのめくるめくなんとやら…

かなり…結構…すげー恥ずかしいはずなんだけど、
目の前で本音とやらで俺のためだけに書き綴る様子に、
お前を独り占めできた気がして
実は嬉しくて仕方ない。

俺はみっともなくニヤニヤと笑う口元を
上手く隠せないから、それを誤魔化すみたいに
頬杖をつきながら窓の外を見て言った。


「悠、それ…書き終わったら折鶴にしてくれよ」

「え? 折るのか?」


不思議そうな表情に
俺はニヤリとお前のマネをして笑うと
嬉しさを噛み締めて言った。


「俺もコレ、大切にするから」


だからお前も大切にしろよ?
と笑うと、当たり前だと言って
悠はまた柔らかく笑った。

 

 

 

数年後。
俺たちは一緒に暮らすことになって
引っ越しの際に、悠の荷物の中から
大事そうに保管されてる
とある箱を見つけることになる。

箱の中にはご丁寧にも
ラミネート加工された、
見憶えありまくりの
あのどうしようもねー紙切れがあった。

それを見た俺は恥ずかしいやら
若気の至りやら色々色々…
まさに悶絶するしかない状態。

 

 

「な、なな! なんでまだこんなの持ってんだ?!
        しかもラミネート加工までして!」

「陽介がくれた、たった一枚のラブレターだから、
           劣化しないようにと思って」

「そ、それしたってなぁ…」

「大丈夫、気持ちは劣化してないから」

「そ、そーいうのは言わなくていいんですぅぅ!!」


いつも通りに叫ぶ俺を、悠はいつも通りのニヤリとした
表情で一度だけ見ると、ふと視線を逸らして
探るように呟いた。


「陽介は? やっぱり…アレは、捨てたのか?」


アレとはきっとアレのこと。
俺が悠にせがんで書いて貰った
あのラブレターってヤツ。

珍しく俺の様子を伺うような仕草を見せたから
俺はお前を安心させてやりたくて
ニヤリとお前の真似をしつつ笑う。


「バーーカ! 残念でした! とってありますぅぅ!」


そう言って俺はサイフの中から
小さな折鶴を取り出した。

 

「これ…このまま?」

「俺みたいなのは失くしたり、
 汚したり、破ったりしそうだったから
 お前が折ってくれた折鶴で、そのまましまっといたんだ」


『折鶴も綺麗に保管されてんだろ? いつも持ってんだぜ』って
俺が誇らしげに言うと、てっきり喜んでくれると思っていた悠は
なぜか目を見開いたまま止まってしまっていた。


「悠? ど、どした?」

「いや……あの時、欲しくもないのに
 貰ってくれたんだと思っていたから…嬉しくて…」

「は?! ば、バカか?! 俺がくれっつったんだろーが!」

「うん、だけど…」


『あれは俺が無理を言ったから…』
なんて苦笑いの悠が俯いたまま
折鶴を見つめて笑う。

コイツこういうトコが
なんか遠慮してるとゆーか、なんとゆーか。

見た目より数段不器用である
相棒を見て俺は苦笑した。


たった一枚の大切な紙切れ。

お前がくれた初めての手紙を
俺はずっと大切にしていたんだけど、
ソレ以上に、お前が大切なんだと
それの方が伝えたくて。

俺は悠の傍に改めてしゃがみ込むと
ボソリと呟く様に言う。

 

「い、いまでも大切にしてるからな? ソレ…」

「ああ…だな、しまい方見れば分かるよ」

「そ、それとさ……」

「ん?」

「俺もさ……劣化してねーから…気持ちとかさ、色々と…な?」

「…うん…そうか…ありがとう、陽介」


俺が些か照れながら言うと
悠は手のひらの折鶴と俺を見て微笑んだ。

それがあの時と
同じ笑顔で笑っていたから
嬉しくなって俺も笑う。

 


「よし! また書いてやろう」

「え? あの恥ずかしい手紙を?」

「は、恥ずかしいってゆーな! あ、あれはだな…」


悠がいつもの調子で
ニヤリと笑って俺へと返すから
俺もいつもの調子で騒いでみた。

『いまの気持ちを書きます!』って俺が宣言すると
何を思ったのか『じゃあ俺も書くよ』と悠が言う。

そうして二人向かい合って床にメモを広げると
あの時と同じように窓の外からは
賑やかな話し声が聞こえて来る。

そして、俺達はまたお互いに笑いあった。

吹き込んでくる風も、話し声も場所も時間も
本当は全然違うんだけど。

それでも変わらない、大切な何かが見えた様な気がした。


そして、俺はまたペンを取る。
けれどそれは、あの時よりかは数段軽やかで。

俺を見て欲しい。
俺だけ見て欲しい。

そんなことばかり考えていたあの時。
実は今も、ちっとも成長なんかしてねーんだけど。

いま隣にいてくれる気配が
遠くても近くても、お前が
お前でいてくれるだけで嬉しいから。

お前が息をして、笑って生きていてくれるだけで
俺はとても嬉しいから。

今度はそんな言葉を、お前に贈ろうと思う。

 


「よし! 書くぞ、相棒!」


「ああ…書こう」


あの時と同じように夕焼けに照らされながら
向かい合う姿に少し照れるけど
俺達は二人一緒にそれぞれのペースで
お互いへと書き綴り始めた。

 


『――』

 


Fin

 









 







 

お手紙な主花でしたー。
MYお題は『恥ずかしい告白を見られちゃって大変な陽介』
だったはずなんですが…あっれーーー;;;

近頃、センセイをナイーブに書きすぎてる
気がします…反省してます;;;;;;

むうう;;精進します;;

楽しんで頂けたら幸い。
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とりあえず、色々ダメな人。

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