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【君の壊れる音(3)】

(2)の続き。お待たせ;な;;;


求めているもの

引かれた線

食い下がる


な、感じで。
いってらっしゃいませ。


以下拍手お礼(該当者様反転推奨)


MCさんへ

こんにちはー(*´∀`*)ノ
いらっしゃいませ。
再びのコメントありがとうございますvvv
連載はあまり得意でなくて
難産なんですが、そう言って頂けると
本当に嬉しいですvv

次も頑張ります!

拍手[4回]















「あれー?花村?なんでアンタここにいんのよ?」


「ん?なんだ…里中か」


ジュネスの売り場で在庫の整理をしていると
聞き覚えのある声に呼び止められた。

いつもの黄緑色のジャージに、
健康そうな笑みを浮かべてこちらを見ている。

 

「なんだとはなによ!あれ?鳴上くんは?一緒じゃないの?」


「んだよ…悠が居るわけねーだろ!見りゃわかんだろ、バイト中だって」


「いや~てっきり一緒にバイトにいそしんでんのかと」


里中からの言葉に、先程のやり取りを思い出してどもる。
初めての喧嘩らしきものの後、無言で別れた。
何もやることがなくて、俺はそのまま
無理矢理シフトに入ったけど、
ほとんど仕事は手につかなかった。

 

「別に…いつも一緒じゃねーよ…」


「そう?アンタたち、暇さえあればベタベタベタベタ…」


「っ…せーな!…つーか、んなベタベタしてねーよ!!」


苛立つ俺が里中からの言葉を
乱暴に返すと、里中が苦笑して返してきた。

 

「…………ふーん…そかそか…」


「んだよ……」


「もしかして…ケンカしたんだ~?」


「っ…っせーっていってんだろ!!!」


うひひひと言った様子で里中が笑う。

まさかの図星に俺が怒鳴ると、
周りからの視線で見咎められる。

まずいと肩をすくめると、
里中が訳知り顔で諭してきた。


「なんだか知らないけどさー早目に仲直りしなね?」


「っ…関係ねーだろ…」


「アンタ、ホントバカね~自分が一番困るのに…」


「え………そ、それは…」


俺が困る?
それは…違うとも言い難いけど…
つーか…今、ぶっちゃけ困ってっけど…


「それに、鳴上くんなら花村のことなら、
      なんだって許してくれそうじゃん?」


「ば、バカか…っ…そんななんでもってわけじゃねー…」


はいはいと俺を見咎めつつ去ってゆく
里中の背中を見ながら、俺は悠のいつもの笑顔を思い出し
仕事の上がり時間を確かめた。

 

 

 

 

「俺、一方的に怒鳴っちまったし…
 もしかしたらお前、具合悪かったのかもって…」


堂島家。
仕事終わり…ジュネスからそのまま来たはいいけれど
悠はどうやら入浴中だったようで…

菜々子ちゃんは俺が急用だと言うと、
快く家へと入れてくれた。

 

 

「…それは………………」


「………」


その後、風呂から上がった悠と
何の心の準備も無いまま居間で鉢合わせをすると、
その気まずい雰囲気に
俺は体半分が飲まれそうになっていた。


時間は深夜に近い時間帯。
堂島さんは出張中とのことで、
部屋には時計の音だけが響いていた。

 

「お茶…」


「あ…うん…ども………」


菜々子ちゃんを寝かしつけた悠が
居間へと戻ってきてお茶を淹れてくれた。

俺は微妙な空気を感じながらも、
里中からの言葉で導き出した問いを
悠へと投げようと、必死に言葉を紡いだ。

 


「悠…お前、なんか隠してないか?」


「別に…何も……」


そう言った悠の瞳が揺れたのが見えた。
隠してる様だけど、判ってしまうこの近さに
俺はじりじりとした焦燥感と
打ち明けてもらえない悲しさに胸が詰まった。

 

「本当に?どっか具合とか……」


「そんなことない…ただ少し…」


「す、少し…なんだよ…」


やっぱり隠された…その感覚が何かを煽って破裂する。

悠が呟くその仕草に俺は見惚れていたけれど
その言葉が返った後、何かに突き動かされるように、
俺は立ち上がり悠へと詰め寄った。

 


「陽介…っ……ま、待て…来るな……っ」


「悠…???」


俺が近寄ると、悠がびくりと
肩を震わせて俯いた。

悠は俺から逃れようと立ち上がり後ずさりすると、
庭へと続くアルミサッシの窓に
追い詰められる形になる。


「来ないでくれ……っ」


見ると少しだけ肩が震えていて
必死に何かを堪えているような感じを受ける。

今まで一度も見たことの無いお前の様子に、
俺は意味の判らない高揚感を覚えた。

なんだ…これ……

 


「悠…」


まるで呼ばれるみたいに一息にお前へと距離を詰めると、
両手で悠の頬を覆って見つめた。


「やめっ……陽介…っ」


「動くな…っ…悠…」


抵抗をする悠を制して、
その柔らかい頬へと指を滑らせると、
俯いたままの悠の顔を覗き込んだ。

灰色の瞳がユラユラ揺れてて綺麗だった。

お前は視線だけで俺を見ると、まるで眩しいものでも
見つめるような表情をした。

 


「陽介…っ…悪いけど少し…離れてくれ…っ…近…すぎるから…」


「悠………っ……」

 

離れてくれ…そう言われた途端
今度は俺の中身が前触れもなく飛び上がった。
お前は前髪を掻きむしると、何かを振り払う様に唸る。
その様子に俺は目が離せなくなる。


「でも…っ」


「頼むから…っ…早く離れてくれ…っ」


俺が少し距離を取ると、お前は見て判るくらいに安堵した顔をした。
その様子に、俺は叩き落されるようなショックを受ける。

 

「悠…っ…なんで…っ」


あれ?今のなんだ?
何かが…チリチリするような
締め付けられるような…
そして、何かを失うような絶望的な感覚がする。

 


「とにかく…なんでもないから…
   お前には関係ないから…気にするな」

 

そう言われた途端、
一本線を引かれた…そう思った。


「何もない…何もないから…っ」


悠は、まるで言い聞かせるみたいに言う。

その度に目の前で一本どころじゃない数の
線が次々と引かれていく。

お前が段々遠くなる。

お前に段々手が届かなくなる。

俺はそれをどうしても受け入れることが出来なくて、
何もかもをぶち壊す勢いで声を上げた。

 

 

「何もなくねーだろ!!」

 

声が天井に響いて反響する。

お前が引く線を壊したくて
もがく様に叫んだ。


「陽介……?」


目の前のお前が、珍しく目を見開いて俺を見た。
ああ…そんな顔もするんだな…

そんなお前をとても遠くに感じながらも、
俺は肩を震わせて次を言わずにはいられない。


「何もって………なんだよそれ…っ」


深夜…しかも他人様の家で。
さっき寝かしつけた菜々子ちゃんだって
この声で起きて来ないとも限らないのに。

でも俺は何も考えられないまま、
胸から声を出すように続けた。


「何かあんだろ?!だからお前おかしいんだろ?!」


絞る様に声を出すと、
喉がカラカラと音を立てた。


「なんかあるなら言えって!様子がおかしいのに聞いても答えないし、
        そういう風に変な気を使ってみたり!なんなんだよ!」


俺がそう言うと、目の前のお前が
厄介なものでも見るような表情をした。

 

「お前は…陽介は…そうやって無理やり聞き出して…
     その先に欲しい結果があると思っているのか?」


「え?……悠?」


「お前が求めているのは俺とは違うのに…っ
  そうやって全部欲しがって…これ以上俺から何を……っ」


「悠…っ…??」

 

悠は追い詰められているような表情になると、
悔しいような苦しいようなそんな風に俯く。

苦しい…そう言っているみたいな顔してた。
許して欲しい…そう懇願しているみたいに見えた。

 

 


「お兄ちゃん……?」


「「?!」」


その途端、聞き覚えのある声が俺たちを引き戻した。

声がした方へと振り向くと、
菜々子ちゃんが心配そうな表情で俺たち二人を見ていた。

 

「………ケンカ?」


その瞳が悲しそうに瞬いた。
悠が反射的に屈んで弁解をするけど
その様子では納得なんかしていない様だった。


「ケンカ…だめだよ?お兄ちゃん…っ」


「大丈夫だよ…ケンカじゃないから…」


そう言うと悠が俺へと向き直って言った。
その目はもう何も通じない…
そんな色が見えた。

 

「陽介…悪いけど今日はもう帰ってくれないか?」


「でも…っ」


「っ…いいから帰ってくれ!!」

 

無様に食い下がった俺への、
悠からの最後の一撃だった。

 


「悠…っ………」


「ごめん…っ…陽介…俺……」


「いい…帰るよ…………」

 

咄嗟に出された悠の手を乱暴に振り払う。
乾いた音を立てて跳ねつけた感覚に、
俺の方が泣きそうになる。


「陽介…!」


俺はそのまま頭が真っ白になってしまい
踵を返すと、逃げるように堂島家を飛び出した。

悠の声が聞こえた気がするけど、
そんな声も俺を呼び止める声には成り得なくて。

全てに耳を塞いだまま、
俺は鮫川の近くまで走り続けた。

 

 

「……っ………」


走りながらも考えるのはお前のことで。
無理なスピードで走っているせいか、
俺はすぐに息を上げた。


「はぁ…はぁ…っ」


思ったよりも長い鮫川の河原に降りると、
ガクリと膝を突き崩れ落ちた。

穏やかな流れが月夜を反射して
無遠慮に輝いて見えて、とても嫌だった。

月明かりが綺麗だなんて、
今日はとても思えなかった。

 


「っ……悠…」


お前に拒絶されるのがこんなに
辛いなんて思わなかった。

滝の様に流れる汗を
袖で拭いながら独り呟いた。


「うぜーとか…思われたのかな…俺…」


いつもなら「うぜー」くらいだったら
苦笑混じりにスルーしてみせるけど
今日だけは自分で自分に言った言葉に
思った以上にダメージを受けた。


なんだこれ?なんだんだ?
頭が痛い…なんなんだ…これは…

誰か教えてくれ…

 

 

「ゲホっ…ゲホ……っ」

 

軽い吐き気にえづく。

吐き気はえづく度に酷くなり、
呼吸をするのも難しくなる。

それに、なぜかとても寒い。

途端、胸にぽっかりと開いた穴が、
俺を悪い方向へ導いてゆく感触がした。

締め付けるような空虚に
何かがぐるぐると、とぐろを巻いた。

途端に始まる酷い震えと嫌悪感。

気の遠くなる様な慟哭に覚えがある。


これは………確か…

 

 

 


『悠………』


仰け反るように声を上げ立ち上がると、
上着から携帯電話が落ちた。

俺はそれに気づかないまま、
ゆらりと揺れると
再び水面に反射した月明かりを見た。

いや…気づいてはいたけれど
そんなのもう…どうでも良かった。

 

『悠…』

 

反射した卑猥な月明かりに見とれながら、
俺は自らの背中から何かがズルりと
抜け落ちた感覚を感じつつ、
その場にただ立ち尽くしていた。

 

 

 

 


「ヨースケ!ヨースケ!」


「ん?クマ???あれ?俺…」


まるで叩き起こされる様に
肩を物凄い勢いで叩かれた。

痛みと一緒に背中に感じた砂利の感触が
一気に現実へと引き戻す。


?現実?じゃあ…さっきのは?

 

「ココでなにしてるクマよ!みんな心配してるクマ!」


怒り心頭と言ったクマの様子に
辺りを見回すと、そこは鮫川の土手で。

まるで昼寝でも決め込んだ様な状態の俺が、
クマに抱き起こされている形だった。


「っせーな…大丈夫だって!ほら帰るぞ!」


反射的に慌てて飛び起きると、
軽く眩暈を感じてふらつく。

なんとかその場に踏みとどまると、
これ以上五月蝿く言われるのを避けるために
クマの背中を押して早足で歩き始めた。

 

「ほれほれ!帰るぞークマ吉ー」


「まったくヨースケは!困ったもんだクマ!」

 


その時、どこかで何がが鳴った音が聞こえた気がしたけれど
それも気のせいの様な気がして…
俺はそのままクマと家路へ着いた。

 

 


♪♪♪~♪~


少し離れた場所。

何者かに握られた携帯電話から、
けたたましいくらいの着信音が鳴った。

辺り一面に響き渡るその音を聞きながら
ソレはディスプレイに写った
『鳴上 悠』の名前を見て薄く笑った。

 


『はい…もしもし』


「あ!ようすけお兄ちゃん?たいへんなの!お兄ちゃんが…!!」


『判ったよ、菜々子ちゃん…今から行くから待ってて?』


底光りするような金色の瞳のソレは、
まるで舌なめずりするように笑うとそう言った。


『悠にも今から“オレ”が戻るからって伝えて…』



It continues to the next…














お、お疲れ様です;;;
ひいいいいい;;暗くてすみませんー;;(><。)

しかも今回もすごい長いし;;
むううううううう;;;
続き!頑張ります!;;;

楽しんで頂けたら倖い。

次回もお付き合い頂けたら倖い。

 

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